テニスの王子様 – Wikipedia

テニスの王子様』(テニスのおうじさま)は、許斐剛による中学校の部活動テニスを題材とした日本の漫画作品。およびそれを原作としたアニメ・ゲーム・実写作品。本項では続編である『新テニスの王子様』(しんテニスのおうじさま)についても一括して説明する。

概要

『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載。1998年41号掲載の読切を経て、1999年32号より連載開始。2008年14号の終了まで約9年間連載された。さらに2009年3月から第2シリーズ『新テニスの王子様』(以降『新-』)として『ジャンプスクエア』にて連載再開。通称「テニプリ」。単行本(初代)は全42巻。公式ファンブックは、10.5巻、20.5巻、40.5巻。イラスト集は、30.5巻。『新-』では単行本は既刊31巻。話数カウントは初代は「Genius-」、『新-』では「Golden age-」。2020年12月時点で累計発行部数は6000万部を突破している[1]

テニスの名門中学校に入学した主人公の越前リョーマが、テニス部に入部して、全国大会優勝を目指して団体戦で試合を勝ち上がっていくというストーリー(なお、個人戦の描写は全く登場しない)。テニスを知らない人でも理解して読めるようにルールの説明や解説が入っている。また、連載当初は実際にテニスプレイヤーが使える技を描写していたが、途中から奇抜な技を中心に試合が進む漫画に路線変更し、26巻にて主人公が無我の境地を会得してからは人間離れした技の描写が顕著になる。ライターのさやわかは、本作について「美しい少年たちがムチャクチャな超能力でテニスにすら見えない試合をカッコよく勝ち上がっていく姿は昔の荒唐無稽で面白いジャンプの少年マンガそのもの」と評している[2]

メディアミックスが多数行われており、2001年から2005年にかけてのテレビアニメ化を皮切りに、CD化、TCG化、ゲーム化(2009年現在継続中)、2003年からはミュージカル化(2018年現在継続中)、2006年には実写映画化とテレビアニメの続編のOVA化、2008年と2019年には中国で実写ドラマ化がなされた。この展開に関連し多数のグッズがムービック・アニメイト・コナミより発売。女性をターゲットにした商品展開[3]が功を成し、この結果キャラクターグッズ売り上げの年間トップを独走する[4]人気ジャンルとなっている。

テニスの王子様のモデル(参考)の一部となったのは東京都の立教中学校(現:立教池袋中学校)。1998年41号の読み切り連載時に、最終ページにある作者コメントにも取材協力に対しての感謝のメッセージが書かれている。立教中学校は1997年に全国中学生テニス選手権大会で団体優勝している。色々な説があるが、主人公の越前リョーマのモデルは早稲田大学出身の羽石祐。実写版の映画を撮っている際、作者の許斐本人が証言している。

男子プロテニス選手の錦織圭は小学生の頃から本作品を愛読していた[注 1]

あらすじ

テニスの王子様
アメリカ各州のJr大会で4連続優勝の経歴を持つ天才テニス少年・越前リョーマ。
アメリカから帰国したリョーマは、テニスの名門「青春学園中等部」に入学する。全国制覇を目指す青学テニス部に入部し、1年生にしてレギュラーとなったリョーマが、様々な対戦校やライバル、時に仲間との試合を経て成長していく物語。
新テニスの王子様
全国大会決勝の3日後、突然姿を消したリョーマが再び日本に戻り、秋に始まったU-17選抜大会に特別参加を許された青学の仲間達やかつてのライバル達、そして正規の参加者である高校生達と競い合う姿を描く。

登場人物

メディア展開

小説

2002年以降、〈ジャンプ ジェイ ブックス〉より6作の小説化作品が発表されている。執筆は1・2作目を影山由美、3 – 5作目を岸間信明が担当。6作目は劇場アニメの小説化であり、アニメ脚本を執筆した前川淳と志茂文彦が担当した(書誌情報については#書誌情報を参照)。

  1. テニスの王子様 The Prince Has Come!!
  2. テニスの王子様 Begin The Battle!!
  3. テニスの王子様 SPECIAL A Day of The Survival Mountain
  4. テニスの王子様 The Gift Has Awaked!
  5. テニスの王子様 The Gift Has Exploded!
  6. 劇場版テニスの王子様 二人のサムライ The First Game

なお、集英社みらい文庫にて初期の作品が復活している。

アニメ

いずれもテレビ東京系列で放送。

テニスの王子様
2001年10月10日から2005年3月30日にかけて放送。
新テニスの王子様[6]
2012年1月4日から同年3月28日にかけて放送。

ラジオ

アニメ版の声優によるラジオ番組。メインパーソナリティーはマンスリーで交代する(2009年5月現在)。文化放送/毎週日曜23:00 –

ゲーム

アニメをベースとしたトレーディングカードと原作及びアニメをベースとした多数のコンピュータゲームが発売されている。製作は全てコナミが担当。

楽曲

校歌

原作にもとづく校歌が存在する。

  • 『青春学園中等部校歌』(『公式ファンブック テニスの王子様10.5』収録)NECインターチャネルよりCDリリース

キャラクターソング

多くのタイトルが発売され、その数はゲーム、ミュージカルを除いても2011年時点で300タイトルを越える[注 2]。その後も発売され続けており、2016年6月頃には約800曲[8]、2020年3月頃には約900曲近く[9]に上った。声優自身が作詞、作曲を手がけることもあり、また原作者である許斐剛も歌詞や楽曲を提供している[注 3]

キャラクターソングとしては楽曲の幅が広く、オリジナルはもとより『バレンタイン・キッス』のような著名な懐メロのカバーから演歌、民謡までリリースされている。ゲームオリジナル曲も多数あるが、そのほとんどがCD化されていない。

通算100タイトル目である跡部景吾の『理由/E気持』は、2005年4月11日付オリコンウィークリーチャートにて初登場9位にランクイン[注 4]。(99タイトル目までの)キャラクター・ソングの中で最も売れたのは、青酢の『WHITE LINE』で、5万枚以上を売り上げている[11]

サウンドトラック

テレビアニメ・劇場版・コンピュータゲームのサウンドトラックが発売されている。

ミュージカル

通称テニミュ。
2003年から2010年にかけて「ミュージカル・テニスの王子様」が公演され、完結。以降また一から新たな演出で描く「2ndシーズン」が2011年から2014年まで公演。「3rdシーズン」が2015年より開始し、「4thシーズン」が2021年より開始[12]

『新テニスの王子様』を舞台化したミュージカル(通称・新テニミュ)が2020年から2021年まで公演[13]。2021年10月、新シリーズ「ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stage」の上演が決定[14]

実写映画

2006年5月13日、松竹・マーベラスエンターテイメントなどにより実写映画化。全国ロードショー。

キャスト

青学のキャストは、越前リョーマ役の本郷奏多を除いて「ミュージカル・テニスの王子様」青学2代目キャストが務めた。氷帝のキャストは、跡部景吾役の載寧龍二を除いてテニス経験者の俳優が務めた。また、「ミュージカル・テニスの王子様」の「The Imperial Match 氷帝学園」までに出演したキャストが多く出演している。

配役についてはテニスの王子様の登場人物を参照。

原作との相違点の一例

  • リョーマの性格や青学に入学した経緯に違いがある。
  • 桜乃が登場しない代わりに檜垣紫音が登場する。
  • 堀尾・加藤・水野は登場しない。
  • スミレの年齢が原作より若く設定されており、南次郎の後輩にあたる。
  • リョーマの初めての校内ランキング戦の対戦相手が、原作では海堂だが映画では桃城である。
  • 原作では海堂は越前のことを気にかけていないが、映画では気にかけている。
  • 不動峰戦後、かわむら寿司にリョーマが入り口まで来るが入らずに帰ってしまう(原作では店に入っている)。
  • 映画では氷帝戦ダブルス2に大石・菊丸ペアが出場し敗戦、ダブルス1の乾・海堂ペアが勝利する(原作では逆である)。
  • ムーンボレーを打つ前のカラカラの動作が、ブーメランスネイクに適用されている。
  • 控え選手対決で対戦する相手が原作では日吉だが、映画では檜垣紫音の兄であるエガテ・マクラウド・檜垣である。

実写ドラマ(中国)

2008年中国で「網球王子」のタイトルで実写ドラマ化。7月25日より放送開始、全22話(初回放送は北京五輪までに終わらせる為に全21話になっている)。東南アジア(タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール等)韓国・日本での放送も予定されている[16]。一部の設定が原作とは異なる。
視聴率が非常に良かったため、続編にあたる「加油!網球王子(網球王子IIから改題)」も製作された(2009年8月28日放送開始)。

役名・キャスト

  • 越前リョーマ→竜馬 – 秦俊杰
  • 手塚国光→鐘国光 – 柏栩栩
  • 乾貞治→銭真智 – 王伝君
  • 不二周助→周助 – 陳澤宇
  • 河村隆→何春竜 – 薛皓文
  • 菊丸英二→鞠万 – 毛方圓
  • 大石秀一郎→石毅 – 張超
  • 桃城武→陶成武 – 楊徳民
  • 海堂薫→陳海堂 – 張殿菲
  • 堀尾聡史→黄覚偉 – 向鼎
  • 跡部景吾→季歩 – 巫迪文
  • 亜久津仁→王亜津 – 鐘凱
  • 不二裕太→周裕 – 魏斌
  • 観月はじめ→関越 – 張暁晨
  • 許 飛剛 英語名Andy Xu – 顧暁東(番組プロデューサー)

海堂薫→陳海堂(チェン・ハイタン)のように原作の漢字を生かしたもの、跡部景吾(中国語読みがジブ・ジンウー)→季歩(ジ・ブ)・乾貞治(チェン・ジェンチー)→銭真智(チェン・ジェンチー)のように原作の漢字を中国語として読んだ時と同じ発音の他の漢字を当てたものとが混在している。

原作との相違点の一例

[4]

  • 舞台は中国であり、登場人物の名前・通り名、学校名も中国風のものとなっている(前者は上記参照)
  • 青学始めとする各校は大学であり、テニス部員達も大学生
  • 青学の制服が学ランではなくブレザー
  • リョーマの同級生の人数(3人→1人)
  • 一部人物の髪型(例:大石がウェーブのかかった茶髪のショート、堀尾がカチローのようなオカッパ頭)
  • 一部女性キャラクターの設定(スミレが壮年の女性教諭で南次郎とは知り合い、桜乃とは叔母姪の関係・桜乃が絵画を嗜む美術部員・朋香が学内広報の記者)
  • 南次郎の現在の職業(寺の住職→専業主夫)
  • カルピンの品種(ヒマラヤン→トラの子猫)
  • リョーマが氷帝と邂逅する時期
  • リョーマが氷帝を高く評価し、打倒氷帝に執着している
  • 杏と桃城・青学の因縁
  • 橘桔平がスポットの使い手であり、地区大会でリョーマの対戦相手となる
  • リョーマが入部した時点で裕太はまだ青学に在籍しており、大会直前に転校する
  • 山吹の部長が亜久津(南・東方は特に役職には就いていない一選手)
  • 河村家の家業の変更(寿司屋→中華料理店)
  • 河村が父親から料理人修行のためにテニス部を止める事を迫られている
  • 河村にラケットを持つと性格が変わる設定は無い
  • オリジナルキャラクター「小波」の存在

その他

  • 主要キャストは人気オーディション番組「加油!好男児」の上位入賞者が多く起用されている。
  • KIRINがスポンサーに付いているため、中国においてKIRINアミノサプリを買うと総計3600名に網球王子グッズが当たる大々的なキャンペーンが行われた。
  • 実写映画版、ミュージカル版を製作したマーベラスエンターテイメントは本作の製作に関わっていない。
  • 2作目の「加油!網球王子」では六角大学のコーチ役として、四大大会男子最年少優勝記録を持つ、マイケル・チャンが出演。練習試合の形式でツバメ返しやスネイクをコミカルに打ち返したり、プロの世界の厳しさなどを語ったりしている。

2019年版中国実写ドラマ

「テニスの王子様〜奮闘せよ、少年!〜」を参照

オフィシャルイベント

青春学園庭球祭’03
2003年3月30日、有明コロシアムで行われたコナミ主催によるイベント。週刊少年ジャンプに応募したうちの当選者のみ無料招待された。矢尾一樹、高橋美佳子が司会。青学レギュラー9名全員の声優、他校キャラクター数名の声優及び、原作者である許斐剛が参加。
この模様はPS2用ゲーム「SWEAT & TEARS 2」の特典DVDに収録されている(コナミ殿堂セレクション版には同梱されていない)。
テニスの王子様 青春学園中等部入学式
2004年3月27日、新宿文化センターで行われたコナミ主催によるイベント。ゲームソフト「SWEAT & TEARS 2」、「Kiss of Prince ICE」、「Kiss of Prince Flam」、「みんなの王子様」についている3枚の応募券を集めて応募したうちの2000名のみ無料招待された。
矢尾一樹が教頭として司会進行を務め、青学レギュラー9名全員の声優、氷帝から3名の声優が参加した。
テニスの王子様 100曲マラソン
2008年3月16日、パシフィコ横浜にて、「テニスの王子様Original Video Animation 全国大会篇 Final」製作決定記念」として開催。主催は「テニスの王子様プロジェクト」。声優33名と原作者の許斐剛が参加した。2008年6月25日DVD発売。
テニプリフェスタ2009
2009年9月6日、有明コロシアム&イベント広場にて、「「テニスの王子様」OVA全国大会完結記念」として昼夜2回開催。2010年1月27日DVD発売。
テニプリフェスタ2011 in 武道館
2011年1月22日・23日、日本武道館にて『テニスの王子様』アニメ10周年記念プロジェクト第1弾として3回開催。2011年5月27日DVD発売。2011年6月6日付オリコン週間DVD総合第1位。
テニプリフェスタ2013

放課後の王子様

『テニスの王子様』をパロディ化したトリビュート企画の4コマ漫画作品。原案・監修:許斐剛、漫画:佐倉ケンイチにより、『ジャンプスクエア』(集英社)2008年12月号より連載中。

基本的にはギャグ漫画で、内容は『テニスの王子様』の登場人物の知られざる一面を見せる日常ものとなっている。また、本編の設定を補完しているところもある。

2011年7月には『テニスの王子様』のアニメ版と同じキャストにより集英社のヴォイスコミック「VOMIC」として、ジャンプ専門情報番組『サキよみ ジャンBANG!』にて放送され、同年8月からVOMIC公式サイトで配信された。

書誌情報

単行本

全て集英社〈ジャンプ・コミックス〉からの発行。特記のない限り著者は許斐剛

完全版

全て集英社〈愛蔵版コミックス〉からの発行。特記のない限り著者は許斐剛

文庫版

全て集英社〈集英社文庫〉からの発行。特記のない限り著者は許斐剛

ガイドブック

全て集英社からの発行。特記のない限り著者は許斐剛

  • 『公式ファンブック テニスの王子様』〈ジャンプ・コミックス〉
  • 『公式ファンブック 新テニスの王子様』〈ジャンプ・コミックス〉
  • 新テニスの王子様 公式キャラクターガイド『ペアプリ』〈ジャンプ・コミックス〉
    1. 「跡部景吾・真田弦一郎」2009年11月4日発売、ISBN 978-4-08-874826-9
    2. 「手塚国光・白石蔵之介」2009年12月4日発売、ISBN 978-4-08-874827-6
    3. 「忍足侑士・忍足謙也」2010年1月4日発売、ISBN 978-4-08-874828-3
    4. 「菊丸英二・仁王雅治」2010年2月4日発売、ISBN 978-4-08-874829-0
    5. 「越前リョーマ・幸村精市」2010年3月4日発売、ISBN 978-4-08-874830-6
    6. 「海堂薫・切原赤也」2011年6月3日発売、ISBN 978-4-08-874854-2
    7. 「芥川慈郎・丸井ブン太」2011年7月4日発売、ISBN 978-4-08-874855-9
    8. 「亜久津仁・木手永四郎」2011年8月4日発売、ISBN 978-4-08-874856-6
    9. 「乾貞治・千歳千里」2011年9月2日発売、ISBN 978-4-08-874857-3
    10. 「不二周助・宍戸亮」2011年10月4日発売、ISBN 978-4-08-874858-0
  • 『新テニスの王子様立海大附属中学校テニス部ガイド「STRENGTH」』2021年4月2日発売[集 150]ISBN 978-4-08-882655-4
  • 『新テニスの王子様氷帝学園中等部テニス部ガイド「CALL」』2021年4月2日発売[集 151]ISBN 978-4-08-882654-7

その他

脚注

注釈

  1. ^ 2014年8月10日放送『青春!アリスポ〜SPORTS×MANGA〜「テニスを変えた“王子様”」』NHKBS1のインタビューの中でも語った。本放送には作者の許斐剛も出演した[5]
  2. ^ 2011年10月10日発売、テじゃ俺300『Brave heart』が通算300枚目となった[7]
  3. ^ 不二周助のミニアルバム『BREATH』では作曲に、不二周助のアルバム『eyes』、越前リョーマのアルバム『cool E』、シングル『Dear Prince〜テニスの王子様達へ〜』では作詞を手がけている。
  4. ^ COUNT DOWN TV2005年4月9日放送分でも初登場9位にランクインしている[10]

出典

以下の出典は『集英社の本』(集英社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

関連項目

  • ジョック – 作中において多く登場している。

外部リンク