フィン・マックール – Wikipedia
フィン・マックール(Fionn mac Cumhaill)はケルト神話に登場する、エリン(アイルランドの古い呼び名)の上王コーマックを守る、フィアナ騎士団の団長。レンスター国のバスクナ一族の生まれで、生来の名はデムナ(ディムナ)だったが、金髪で肌が白くて美しいことからフィン(『金色の髪』の意)と呼ばれるようになった。 アイルランド神話を構成する4つの物語群の内の三番目にあたる[要出典]フィン物語群で伝えられる。 一般的にフィンの両親とされるのはフィアナ騎士団の団長クール・マックトレンモー(英語版)とヌアザの孫娘マーナ(英語版)である。しかしこの他に、フィン・マックールとフィン・マック・グレオル(Find mac Gleoir)を同一視し、コンホヴァル・マク・ネサの子孫であるグレオルを父親と見做す場合がある。また、母親についてもFuincheやTarbda(Torba)とする場合がある。 フィン・マックールの血統に関する最も有名な系譜は、氏族の名祖であるバスクナを古代のレンスター王ヌアドゥ・ネフト(Nuadu Necht(英語版)[1])の末裔とするものである。しかし、バスクナの祖先を古代のマンスター王Deda mac Sin(英語版)[2]とする系譜も存在する。 フィンの母方の祖父 Tadg mac Nuadat(英語版)[3]の名は「ヌアドゥの息子タイグ」を意味する。このヌアドゥとはヌアザその物であるとも、レンスターにおけるヌアザの顕現であるともされる。また、一見奇妙な事だがタイグ本人もヌアザの別名である可能性があると考えられている。こうした理由でフィンはヌアザの孫とも曾孫ともされる。[4][5] 生い立ち[編集] フィン・マックールはヌアザの孫娘マーナとフィアナ騎士団の団長クール・マックトレンモーとの間に生まれた。成長してフィンと呼ばれるようになったが、それまでは別の名で呼ばれており、デムナという幼名が最もよく知られている。 クールとマーナの関係は周囲から祝福されたものではなかった。それというのもクールは舅となるタイグから許しを得ずにマーナを連れ出しており、タイグが上王である百戦のコン(英語版)に訴えたことでクールは追討を受ける立場になったからである。[6]そして現在のダブリン郊外キャッスルクノック(英語版)とされるクヌハの戦いで彼はコノートのフィアナの隊長であったゴル・マックモーナ(英語版)に殺された。マーナはゴルがクールの息子を生かしてはおくまいと恐れ、ボーウァル(英語版)[7]たちに密かに息子をブルーム山脈(英語版)で育てさせた。 育ての母親たちに荒野で生きるためのあらゆることを授けられたデムナは、素晴らしい狩人になった。ある日、家である小屋から離れたところに出歩いたデムナと同じ年頃の少年たちがしているハーリングに興味を持ち、仲間に入って遊んだところ、たちまちの内に上達し一人で全員を相手に勝利を治めた。このことを知った少年たちの族長がデムナに興味を持ち、名前を誰も知らなかったので外見の特徴である「太陽のように明るい髪をしている」から「フィン」と呼ぶようになった。[8] フィン・マックールという名が知れ渡るということは、同時にフィンの命が脅かされるということでもあった。当時のフィンの敵は上王である百戦のコン、コノートのフィアナの長であるゴル・マクモーナ、百戦のコンの養父だったコノート王コナル、上王コンに従う名高いターラのルグネ[9]だった。旅する中でフィンは王や族長に仕え、戦士としての経験を積む。
Continue reading
Recent Comments