ラ・マンチャ (DO) – Wikipedia
ボトル背面に貼られる原産地呼称ラベル ラ・マンチャ(スペイン語: La Mancha)は、スペイン中央部のカスティーリャ=ラ・マンチャ州に所在するワイン産地。スペインワインの原産地呼称制度であるデノミナシオン・デ・オリヘン(DO)では「原産地呼称」(DO)に指定されている。182自治体からなり、12自治体はアルバセテ県、58自治体はシウダ・レアル県、66自治体はクエンカ県、46自治体はトレド県にある。2010年時点のブドウ栽培面積は168,119ヘクタールであり、世界最大級のブドウ産地である。原産地呼称資格のある畑は産地全体の半分以下ではあるものの、オーストラリアのブドウ畑の総面積よりも広い。 1966年に設立されたラ・マンチャ原産地呼称統制委員会には、2010年時点で17,638のブドウ生産者、276軒のワイナリーが登録されている[3]。ラ・マンチャ原産地呼称統制委員会の本部はシウダ・レアル県アルカサル・デ・サン・フアン(スペイン語版)に置かれている。 ラ・マンチャ (DO)は安価なバルクワインの産地として知られるが、近年ではボトルワインの生産でも知られるようになり、長期熟成されたワインを他産地よりも低価格で供給している。 2007-08年の総生産量は6,725万2,000リットルであり、うちスペイン国内出荷量が2,353万2,000リットル、国外出荷量が4,372万リットルである。種類別生産量は赤ワインが3,847万7,000リットル、白ワインが2,026万リットル、ロゼワインが751万4,000リットル、スパークリングワインが101万リットルである。主要な輸出国はドイツ、フランス、イギリス、オランダである。 テロワール[編集] 気候[編集] スペイン中央部に広がる高原、標高約600mのメセタ上に広がる。メセタの周囲にある山脈が地中海や大西洋からの湿った風をさえぎるため、メセタは年間を通じて乾燥している。ラ・マンチャは大陸性気候であり、昼間には摂氏45度に達することもある長く暑い夏季と、夜間には摂氏マイナス15度に達することもある寒い冬季を特徴としている。年降水量は300-400mmと国内のワイン産地の中でも少ないが、年日照時間は約3,000時間と多い。 土壌[編集] イベリア半島にある広大な台地、メセタ上にあるラ・マンチャ地方は起伏が少ない。土壌は産地を通じて均質であり、赤茶色の砂礫質・粘土質である。有機質に乏しく、石灰質やチョーク質に富んでいる。石灰層が一般的であり、ブドウの根は石灰層を超えてさらに地中深くに達する。ラ・マンチャでは北部よりも南部の標高が高い傾向にあり、北部にあるアランフエスの標高は約480mだが、南部の標高は約700mである。 シウダ・レアルのブドウ畑 ラ・マンチャのワイン 中世以前[編集] ラ・マンチャ地方にブドウがもたらされたのは帝政ローマがイベリア半島を支配した頃であるとされている。この地域のブドウ栽培に関する初の言及は12世紀に遡る。この地域では歴史的に家畜の放牧と穀物の栽培が卓越していたため、18世紀半ばのブドウ栽培面積は農地面積全体の約8%にすぎなかった。また、スペイン国外への輸出に不利な内陸部に位置するため、主に地元で消費されるテーブルワインを生産していた。ラ・マンチャ地方では伝統的に、ティナハと呼ばれる土器の大瓶がワインの熟成や貯蔵に使用された。 19世紀[編集] 19世紀後半にはスペインに鉄道がもたらされ、ラ・マンチャ地方には比較的早くにマドリードと結ばれる鉄道路線が開通した。1860年代には首都マドリードやビスケー湾沿岸のバスク地方の市場に進出し、1870年代以降にはフランスへの輸出も行われるようになった。19世紀後半にはヨーロッパ全体をフィロキセラの流行が襲い、19世紀末から20世紀初頭にはスペインのワイン産地にもフィロキセラが到来したが、乾燥した気候や砂礫質土壌がフィロキセラの活動を阻み、ラ・マンチャ地方はブドウ畑の破壊を免れた。ラ・マンチャ地方ではこの時代にブドウ畑が拡大し、1880年代半ばにはスペイン最大のブドウ産地となった。病害虫への抵抗力が強く、厳しい気候条件に対応し、なにより収量の多いアイレン種の植え付けが進んだ。 20世紀以後[編集]
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