下から見た顔 – Wikipedia

下から見た顔』(したからみたかお、原題:英: The Face from Below)は、アメリカ合衆国のホラー小説家ローレンス・J・コーンフォードによる短編ホラー小説。クトゥルフ神話の1つで、ロバート・M・プライスの依頼で、「エイボンの書」書籍再現企画のために書かれた作品の1つ。ハイパーボリアにおけるヨグ=ソトース(ハイパーボリア訛り:ヨグ=ゾトース)譚である。またスミスの『白蛆の襲来』で言及のあった、賢者プノムの掘り下げが行われる。

あらすじ[編集]

ムナールディスに住む賢者プノムのもとに、アスファゴス地方からの客人たちが訪れる。悪魔払いとして名高いプノムに、客人たちは地元に出現した悪魔のことを語り出す。話を聞いたプノムが現地へと出向くと、ちょうど村が、目に見えない怪物の襲撃を受けて荒らされていた。プノムは出陣し、魔術で怪物を葬る。プノムは英雄と称えられ、村人たちは大喜びするも、プノムにしてみればあまりにも弱すぎて逆に不可解であった。

真の脅威が隠れていると思ったプノムが、森を探りに入ったところ、ヴァシュ=ツォスという大男と出会う。プノムは、怪物が狼藉を働いていたことと自分が殺したことを説明する。ヴァシュは、自分は弟のマーグと2人でずっと森で暮らしていることと、姿を消した弟を探していることを語る。ヴァシュが説明するところによると、ローブを着た者たちが環状列石で奇妙な儀式を行っている様子を弟と目撃した夜以来、森の獣たちや村人たちが逃げ出したことで、物々交換をする相手がいなくなってしまい、ついに弟まで消えてしまったのだという。

プノムはヴァシュに、環状列石に案内するよう要求し、2人は現場へと赴く。プノムは悪霊を召喚してマーグのことを聞き出そうと、儀式を執り行う。だが呼び出された霊は、予測だにせぬ大霊「ヨグ=ゾトースの天使」であり、さらに悪霊は「マーグ=ツォスはお前が殺した」と答える。プノムは否定するも、悪霊の回答を聞いたヴァシュは儀式のアイテムを壊しにかかり、さらにプノムを殴り倒す。

ヴァシュ=ツォスは、一見すると人間のように見えたが、異形であった。「額の皺」に見えていた口が開き、「父よ、ここにあなたの息子にしてわが弟を殺した者がおります。どうしてくれましょうや」と言葉を発する。地面に転がされたプノムが下から見たヴァシュの顔は、口髭ではなく眉毛であり、眉毛ではなく鼻毛であるという、上下が逆転した顔であった。全てを理解して仰天したプノムは、とんでもない存在を害してしまったと、恐怖のまま一目散に逃げだす。プノムは己に、ヨグ=ゾトースの息子を殺したのだから完全に依頼達成であると言い聞かせ、まだ一人残っていることについては「村人たちが自分でやればよい」と結論付け、ムナールディスへと逃げ帰る。

主な登場人物[編集]

  • 賢者プノム – 高名な悪魔払い師。系図学者・予言者でもある。
  • ヴァシュ=ツォス – 森に住む、大柄な青年。
  • マーグ=ツォス – ヴァシュの弟。行方不明になっている。
  • 『エイボンの書 クトゥルフ神話カルトブック』新紀元社

関連作品[編集]

  • ダニッチの怪 – ラヴクラフトによる作品、ヨグ=ソトースの落とし子テーマ作品の元祖。

注釈[編集]

出典[編集]