灰島かり – Wikipedia
灰島 かり（はいじま かり、1950年6月2日- 2016年6月14日[1]）は、日本の児童文学研究者・翻訳家。本名・鈴木貴志子。旧姓・蓜島[2]。夫は法政大学名誉教授の鈴木晶、娘は作家の鈴木涼美である。
千葉県生まれ。割烹旅館や料亭を経営する裕福な家庭に生まれる[3]。実家の『鴻月』は大正時代創業の市川三業組合に属する料理旅館で、市川市国府台にあった行楽地「里見八景園」の一事業として始まり、渡し船など遊船業も行っていた地元の老舗だった[2][4]。
お茶の水女子大学附属中学校・高等学校を経て国際基督教大学を6年で卒業[5][6]。中学より幾度か留学する[6]。高校時代に沢田博脚本演出の高校演劇に客演し、大学時代は演劇に熱中して浪曼劇場研究生となる[3][7]。大学卒業後（卒論テーマはアラン・ガーナー[7]）、ホテルの通訳、資生堂宣伝部『花椿』編集部、コピーライターを経て、出産後翻訳などを手掛け、1994年に夫のサバティカルに同行して渡英し[3]、サリー大学ローハンプトン大学院児童文学科で児童文学を学ぶ。帰国後は、児童向けの本の専門家として活動。白百合女子大学講師[8]。
2016年6月14日、胃がんにより死去。66歳没[9]。
夫は法政大学名誉教授の鈴木晶、娘は社会学者、タレント、作家、元AV女優の鈴木涼美。祖父は「里見八景園」共同創業者、「鴻月」は祖母と母親が経営し、父親の蓜島正次は東京ベイ信用金庫会長、市川警察署内金融防犯協議会会長、市川市行政改革審議会会長、県教育委員会委員長、市川市緑の基金理事長、市川市文化振興財団理事長などを歴任し、市川市名誉市民の称号が贈られた[10]。
- 『こんにちは』おぼまこと絵 アスク講談社 あかちゃんじゃないもん・しつけ絵本 1990
- 『絵本翻訳教室へようこそ』研究社 2005
- 『あいうえおのえほん』小中大地絵 玉川大学出版部 2011
- 『ラブレターを書こう』藤原ヒロコ絵 玉川大学出版部 小学生のための文章レッスン 2012
- 『かんじのえほん』小中大地絵 玉川大学出版部 2013
共編著[編集]
- 『絵本をひらく 現代絵本の研究』谷本誠剛共編 人文書院 2006
- 『英米絵本のベストセラー40 心に残る名作』編著 ミネルヴァ書房 2009
翻訳[編集]
- ポール・ギャリコ『猫語の教科書』筑摩書房 1995 のち文庫
- パム・エアーズ『お助けナブラーが、やってくる』評論社 児童図書館・文学の部屋 1998
- アン・ファイン作 スティーブ・コックス絵『キラーキャットのホラーな一週間』評論社 児童図書館・文学の部屋 1999
- キャスリン・ラスキー作 ケビン・ホークス絵『大森林の少年』 あすなろ書房 1999
- ローズマリー・サトクリフ『ケルトの白馬』 ほるぷ出版 2000 のちちくま文庫
- ジェニファー・アームストロング『そして、奇跡は起こった! シャクルトン隊、全員生還』評論社 2000
- アン・ファイン『それぞれのかいだん』評論社 児童図書館・文学の部屋 2000
- 『イギリスで初めての日本絵本原画展 カタログ(日本語版)』三宅興子・正置友子編著 三宅・正置共訳 「日本絵本原画展インイングランド」実行委員会事務局 2001
- エロール・ル・カイン『キャベツ姫』 ほるぷ出版 2002
- サトクリフ『ケルトとローマの息子』ほるぷ出版 2002 のちちくま文庫
- シェリー・ムーア・トーマス文 ジェニファー・プレカス絵『さびしがりやのドラゴンたち』評論社 児童図書館・絵本の部屋 2002
- アンソニー・ブラウン絵 グエン・ストラウス文『ナイトシミー 元気になる魔法』平凡社 2002
- ロアルド・ダール作 クェンティン・ブレイク絵『へそまがり昔ばなし』評論社 児童図書館・文学の部屋 2002
- キャロル・リン・ピアソン『レッスン』ささめやゆき画 平凡社 2002
- エロール・ル・カイン文・絵『アーサー王の剣』ほるぷ出版 2003
- サリー・グリンドレー文 アンソニー・ブラウン絵『とんとんとん!とをたたくのはだあれ?』評論社 児童図書館・絵本の部屋 2003
- サトクリフ『炎の戦士クーフリン ケルト神話』ほるぷ出版 2003 のちちくま文庫
- アンシア・デイビス再話 エロール・ル・カイン絵『サー・オルフェオ』ほるぷ出版 2004
- アン・ファイン『チューリップ・タッチ』評論社 2004
- アンソニー・ブラウン『森のなかへ』評論社 児童図書館・絵本の部屋 2004
- サトクリフ『夜明けの風』ほるぷ出版 2004
- シェリー・ムーア・トーマス文 ジェニファー・プレカス絵『かぜっぴきのドラゴンたち』評論社 児童図書館・絵本の部屋 2005
- 『こぶたは大きい』ダグラス・フロリアン BL出版 2005
- 「ロアルド・ダールコレクション」評論社 ロアルド・ダール著 クェンティン・ブレイク絵
- 『こわいい動物』 評論社 2006
- 『へそまがり昔ばなし』2006
- 『まぜこぜシチュー』2007
- クリス・ポーリング『ダールさんってどんな人?』2007
- アンソニー・ブラウン『びくびくビリー』評論社 児童図書館・絵本の部屋 2006
- ケビン・ヘンクス文 ダン・ヤッカリーノ絵『まるいねまるいぬ』BL出版 2006
- ヴァージニア・カール『公爵夫人のふわふわケーキ』平凡社 2007
- マーガレット・ワイズ・ブラウン文 ダン・ヤッカリーノ絵『ぼくのコブタは、いいこでわるいこ』BL出版 2007
- ジョン・バーニンガム『わたしの絵本、わたしの人生』ほるぷ出版 2007
- ジェイムズ・メイヒュー「エラは小さなバレリーナ」シリーズ 小学館
- 『エラと『眠れる森の美女』』2008
- 『エラと『シンデレラ』』2010
- 『エラと『白鳥のみずうみ』』2011
- ヘイゼル・ハッチンス作 ケイディ・マクドナルド・デントン絵『しゃっくり1かい1びょうかん こどものためのじかんのほん』福音館書店 2008
- スザンヌ・ウィリアムス『プリンセス・クラブ』全6巻 泉リリカ絵 ポプラ社 2008‐2010
- ジャン=バプティステ・バロニアン作 ノリス・カーン絵『ママ、ぼくのことすき? しろくまポロのしんぱい』平凡社 2008
- ナン・グレゴリー作 リュック・メランソン絵『きらきらピンク』 鈴木出版 2009
- ジョーン・バウアー『靴を売るシンデレラ』小学館 2009
- ジェン・キャロニタ「ハリウッドスター」シリーズ 松村紗耶共訳 小学館
- 『転校生は、ハリウッドスター』2009
- 『ハリウッドスター、撮影開始!』2009
- 『ハリウッドスターと謎のライバル』2010
- ケイト・クリス文 サラ・クリス絵『うさぎのうさぼうときょーふのママだいおう』主婦の友はじめてブック 2010
- ルーシー・カズンズ『パックン! おいしいむかしばなし』 岩崎書店 2010
- サイモン・バシャー『ABCのえほん』玉川大学出版部 2011
- サイモン・バシャー『123のえほん』玉川大学出版部 2013
- ピーター・ベントリー文 ヘレン・オクセンバリー絵『おうさまジャックとドラゴン』岩崎書店 2011
- ミッシェル・マーケル文 ダグ・クシュマン絵『さんすうサウルス』福音館書店 2011
- ルーシー・カズンズ『ぼくがいちばん!』岩崎書店 2011
- ピーター・ベントリー『いぬのおしりのだいじけん』松岡芽衣絵 ほるぷ出版 2012
- 「いちにちといちねん絵本シリーズ」インクリンク絵 オリビア・ブルックス文 学研教育出版
- 『おしろのいちねん』2012
- 『こうじげんばのいちねん』2012
- 『どうぶつえんのいちにち』2012
- 『くうこうのいちにち』2013
- ジェーン・ドゥーナン『絵本の絵を読む』正置友子・川端有子共訳 玉川大学出版部 2013
- ニック・ブランド文 フレヤ・ブラックウッド絵『だいすきだっこ』岩崎書店 2013
- ローラ・クラウス・メルメッド文 ジム・ラマルシェ絵『月のしずくの子どもたち』BL出版 2013
- ジョーン・バウアー『負けないパティシエガール』小学館 2013
- トマス・テイラー『おどかさないでよ、ガオくん!』ほるぷ出版 2014
- エリザベス・ロバーツ『とけいのあおくん』殿内真帆絵 福音館書店 こどものとも絵本 2014
- ネズビット『メリサンド姫 むてきの算数!』高桑幸次絵、小峰書店 おはなしメリーゴーラウンド 2014
- ^ Sho’s Bar 夫・鈴木晶のブログ
- ^ a b 妻の思い出 (1)鈴木晶ブログ
- ^ a b c 『愛と子宮に花束を』鈴木涼美、幻冬舎、2017、p6
- ^ 料理旅館「鴻月」里見公園新聞 第７３号 2011年11月29日
- ^ 猫語の教科書 / ギャリコ，ポール
- ^ a b 『愛と子宮に花束を』、p167
- ^ a b 妻の思い出 (2)鈴木晶ブログ
- ^ 『ラブレターを書こう』著者紹介
- ^ “絵本研究家・翻訳家の灰島かりさん死去”. 朝日新聞. (2016年6月15日) 2016年6月15日閲覧。
- ^ 蓜島正次氏が死去 地域の発展に貢献市川市名誉市民市川よみうりonline、2012年10月6日
外部リンク[編集]
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