チャイナ橙の謎 – Wikipedia
『チャイナ橙の謎』(チャイナだいだいのなぞ、The Chinese Orange Mystery )は、1934年に発表されたエラリー・クイーンの長編推理小説。
エラリー・クイーン(作者と同名の探偵)が登場する作品であり、タイトルに国名が含まれる、いわゆる「国名シリーズ」の第8作である。
あらすじ[編集]
「チャイナ・オレンジ」など稀少な切手の収集家として知られる出版社社長が住居兼事務所として使うチャンセラー・ホテル。そのホテルの待合室で身元不明の男が殺される。室内は着衣をはじめとして、あらゆるものが逆さまにされていた。社長の友人であるエラリーは、犠牲者が、すべてが西洋とは「さかさま」な東洋に関連していると主張する。
- 登場人物一覧の紹介が皮肉たっぷりの内容になっている[1]。
登場人物[編集]
- ヒュー・カーク博士 – 七十歳を越えた学者。チャンセラー・ホテルに書斎と住居を持つ。
- ミス・ディヴァシー – 博士の世話をしている付き添いの看護婦。
- ドナルド・カーク – 博士の息子、出版社社長。宝石・切手の収集家として有名。チャンセラー・ホテルに会社事務所と住居を持つ。父や妹と同居。
- マーセラ・カーク – 博士の娘。ドナルドの妹
- ジェームス・オズボーン – ドナルド・カークの秘書
- ハッペル – カーク家の執事
- フェリックス・バーン – ドナルドの共同経営者
- グレン・マクゴワン – ドナルドの親友
- シェーン夫人 – チャンセラー・ホテル二十二階の受付係
- ナイ – ホテルの支配人
- ブラマー – ホテルの探偵
- アイリーン・リューズ – 宝石専門の女詐欺師
- ジョー・テンプル – 中国で育ったアメリカ女性、作家志望
- プラウティ医師 – 検死官。
- ジューナ – クイーン家の召使
- トマス・ヴェリー – ニューヨーク警察の部長刑事。
- リチャード・クイーン – 警視。ヴェリー部長の上司。
- エラリー・クイーン – 犯罪研究家
- 被害者 – 正体不明の人物
作品の評価[編集]
- 本作は密室ものとして評価されているが、密室殺人ではない。解決で、現場との間のドアは現場の側から施錠、もう一つあるドアの外には終始人の目という密室にあったオズボーンが犯人と明かされる。彼は殺害後死体を突っ張った状態に仕立て、重石に使って施錠して嫌疑を逃れようとした。
- 本作が重要な役割を果たすマイクル・アヴァロンの『ナポレオン・ソロ1 / アンクルから来た男』で、ソロはクイーンの最も有名な作品としている。
- エラリー・クイーン・ファンクラブ会員40名の採点による「クイーン長編ランキング」では、本作品は13位となっている[2]。
- 1977年に来日したエラリー・クイーン(フレデリック・ダネイ)は、自身が選ぶベストスリーに本作品と『災厄の町』『中途の家』を挙げている(「番外」に『九尾の猫』)[3]。
日本語訳書[編集]
- ^ 『エラリー・クイーンの世界』フランシス・M・ネヴィンズJr.(1974年)など
- ^ 『エラリー・クイーン Perfect Guide』(ぶんか社、2004年)
- ^ 『EQ』(光文社)1978年創刊号「対談:エラリー・クイーンvs松本清張」
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