住友商事 – Wikipedia

住友商事株式会社(すみともしょうじ、英: Sumitomo Corporation)は、住友グループの大手総合商社。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅と共に五大商社の一つ。日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄の一つ[4][5]

戦前の住友には独立した商事部門がなく、住友商事は、戦後発足した商事会社であることから「遅れてきた商社」と呼ばれていた時代があった。これは、住友第三代総理事鈴木馬左也によって1921年(大正10年)に言い渡された「商社設立禁止宣言」のためで、これ以降、住友では「商社の開設」は禁句となった。しかし、第二次世界大戦の敗戦で住友本社の解体が決定的となり、住友本社職員および日本各地、外地からの引揚者のために職場を開設することが緊急課題となり、さし当たって大資本を必要とせず、大量雇用も可能な商事会社の設立案が浮上した。しかし、戦後の経済情勢で独立の商社設立が困難なため、不動産・建設会社で資産内容が良好な住友土地工務に商事部門を併設することになった[注釈 2]

この商事部門の統轄責任者として田路舜哉が就任し、社名を日本建設産業と改め1945年(昭和20年)に商事活動をスタートした。ただ、戦前商事会社がなかった住友には、商事に熟達した人材がおらず、さらに住友の禁を破って設立された商事会社であることから、住友グループ内からも異端児扱いされ厳しい船出となった。このような状況下で、田路社長時代の積極拡大路線によって1957年(昭和32年)には年間売上高でベストテン入りを果たし、第四代社長植村光雄時代には、「ビッグ・スリー アンド ベスト・ワン」(売上高第三位、利益第一位)を全社ビジョンとし、1983年(昭和58年)に利益第1位となった。

  • 1919年(大正8年)12月 – 大阪北港株式会社(資本金3500万円)として設立。
  • 1944年(昭和19年)11月 – 株式会社住友ビルディングを合併して、住友土地工務株式会社と改称。
  • 1945年(昭和20年)11月 – 新たに商事部門への進出を図り社名を日本建設産業株式会社と改称し、商事会社として発足する。
  • 1949年(昭和24年)8月 – 大阪・東京・名古屋の各証券取引所に株式を上場。
  • 1950年(昭和25年)7月 – 日建設計工務株式会社(現・日建設計)を新設。
  • 1952年(昭和27年)6月 – 社名を住友商事株式会社と改称。
  • 1955年(昭和30年)6月 – 福岡証券取引所に株式を上場。
  • 1962年(昭和37年)12月 – 大阪・東京の営業部門を一体とし商品本部制を実施、鉄鋼・非鉄金属・電機・機械・農水産・化成品・繊維・物資燃料・不動産の9本部を設置。
  • 1970年(昭和45年)11月 – 本社および東京支社の名称を廃止し、大阪本社および東京本社と改称。
  • 1973年(昭和48年)11月 – フランクフルト証券取引所に株式を上場。
  • 1978年(昭和53年)7月 – 英文社名としてSUMITOMO CORPORATION(SUMITOMO SHOJI KAISHA, LTD.)を採用。
  • 1979年(昭和54年)6月 – 営業部門制を実施、商品本部を鉄鋼・機電・非鉄化燃・生活物資の4営業部門とする。
  • 1996年(平成8年)6月 – トレーダーで非鉄金属部長が銅地金の不正取引で同社に2,850億円の損害を与えたことが発覚。さらに直後の株主総会では役員退職慰労金に関する株主の質問をさえぎって議事進行を強行。そのため株主代表訴訟および総会決議取消訴訟に発展した。[6][7]
  • 1998年(平成10年)2月 – 経営理念・行動指針を制定。
  • 2001年(平成13年)4月 – 大阪本社および東京本社の名称を廃止し、6グループのコーポレート部門と9事業部門28本部の営業部門からなる本社に再編。関西、中部および九州・沖縄地域においてブロック制を導入。
  • 2001年(平成13年)5月 – 千代田区一ツ橋から中央区晴海一丁目に本社移転。
  • 2008年(平成20年)4月 – 昭和シェル石油とLPG事業を統合、エネサンスホールディングスを設立。
  • 2010年(平成22年)4月 – 営業部門に新産業・機能推進事業部門を新設する一方、金融・物流事業部門を同事業部門に統合・廃止(7事業部門・25本部体制に変更なし)。
  • 2013年(平成25年)4月 – 営業部門を5事業部門22本部に再編。
  • 2014年(平成26年)4月 – 国内ブロック制を廃止。
  • 2015年(平成27年)4月 – 営業部門を5事業部門21本部に再編。
  • 2018年(平成30年)9月 – 晴海トリトンスクエアから千代田区大手町の大手町プレイスに本社移転[8]
  • 2019年(令和元年)
  • 2021年(令和3年)12月30日 – 名古屋証券取引所第一部並びに福岡証券取引所上場廃止。[20]

歴代社長[編集]

主要事業所[編集]

東京[編集]

  • 本社 – 東京都千代田区大手町二丁目3番2号 大手町プレイス イーストタワー

中部[編集]

近畿[編集]

中国[編集]

四国[編集]

  • 四国支店 – 香川県高松市サンポート2番1号 (サンポートビジネススクエア)
  • 新居浜支店 – 愛媛県新居浜市新田町3丁目2番27号 (新居浜ビル)
  • 今治営業所 – 愛媛県今治市共栄町2丁目2番1号 (朝日生命今治ビル)

主要グループ会社[編集]

金属事業部門[編集]

輸送機・建機事業部門[編集]

インフラ事業部門[編集]

メディア・デジタル事業部門[編集]

  • アスミック・エース – 映像ソフトの企画、制作、配給、販売
  • イーウェル – 福利厚生代行サービス、健康支援サービス
  • SCSK – ソフトウェア開発、情報処理サービス、 通信ネットワークサービス、パッケージ・ソフトおよびソフトウエア・ハードウェアの販売、SIサービスなど、BPO(Business Process Outsourcing)
  • SCデジタルメディア – デジタルメディア領域における事業の統括運営および事業投資
    • AlphaBoat – デジタルメディア領域におけるコンテンツ制作、クリエイター管理、広告営業
  • クランチロールSCアニメファンド – 製作委員会への出資による日本アニメコンテンツの調達および、その海外向け配信・商品化事業
  • ジェイ・スポーツ – スポーツ番組の放送
  • JCOM(J:COM) – ケーブルテレビの統括運営を通じた有線テレビジョン放送事業及び電気通信事業、ケーブルテレビ局及びデジタル衛星放送向け番組供給事業統括
  • DeSCヘルスケア – 健康レコメンデーションメディア「KenCoM(ケンコム)」の運営を中心とした各種ヘルスケア事業
  • ティーガイア(東京証券取引所市場第一部) – 携帯電話等の販売及び代理店業務、企業向けを中心とした通信ソリューションサービスの提供、固定通信サービスの販売取次業務、決済サービス、その他新規事業
  • BWAジャパン – 地域BWAによる電気通信事業

生活・不動産事業部門[編集]

資源・化学品事業部門[編集]

コーポレート事業部門[編集]

広報活動[編集]

不祥事・事件[編集]

関係する人物[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 住友商事は、長年に渡って大阪に本社を構えていたが、1970年(昭和45年)11月に大阪・東京の2本社制に再編し、その後2001年(平成13年)の組織再編により本社は東京のみとなった。住友グループの企業の特徴として、住友財閥が大阪(住友村)を拠点にしていたことから大阪・東京の2本社制の特徴がある。
  2. ^ このため、住友商事の法人設立日は、住友土地工務の前身である大阪北港の設立日である。

出典[編集]

  1. ^ コーポレートガバナンスについて – 住友商事株式会社
  2. ^ a b c d e f g h 2021年3月期 決算短信”. 住友商事株式会社 (2021年5月7日). 2021年5月8日閲覧。
  3. ^ 2020年3月期 第152期 有価証券報告書”. 住友商事株式会社 (2020年6月19日). 2021年5月8日閲覧。
  4. ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
  5. ^ 「TOPIXニューインデックスシリーズ」の定期選定結果及び構成銘柄一覧 (PDF) jpx.co.jp 2020年10月7日公表 2021年10月8日閲覧。
  6. ^ ニュース百科|Web東奥” (日本語). Web東奥. 2022年1月14日閲覧。
  7. ^ 日本放送協会. “追跡・住商巨額損失事件”. NHK クローズアップ現代+. 2022年1月14日閲覧。
  8. ^ “本社移転に関するお知らせ” (プレスリリース), 住友商事株式会社, (2018年9月25日), https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/topics/2018/group/2018new_ad 2018年10月5日閲覧。 
  9. ^ 株式会社三井住友フィナンシャルグループと住友商事株式会社とのリース共同事業再編の完了に関するお知らせ”. 住友商事. 2019年1月10日閲覧。
  10. ^ 株式会社三井住友銀行、株式会社日本政策投資銀行との合弁会社
  11. ^ 再生可能エネルギーファンドの設立について”. 住友商事. 2019年2月15日閲覧。
  12. ^ 当社子会社(SCSK株式会社)の株式会社ベリサーブおよび株式会社JIECに対する公開買付けの結果に関するお知らせ”. 住友商事. 2019年3月20日閲覧。
  13. ^ SCSK株式会社による当社株式に係る株式売渡請求を行うことの決定、当該株式売渡請求に係る承認及び当社株式の上場廃止に関するお知らせ”. 株式会社ベリサーブ. 2019年3月30日閲覧。
  14. ^ SCSK株式会社による当社株式に係る株式売渡請求を行うことの決定、当該株式売渡請求に係る承認及び当社株式の上場廃止に関するお知らせ”. 株式会社JIEC. 2019年3月30日閲覧。
  15. ^ 住友商事グループとメタルワングループの国内鋼管事業に関する統合期日のお知らせ”. 住友商事. 2019年1月1日閲覧。
  16. ^ 住友商事グループとメタルワングループの国内鋼管事業統合会社 住商メタルワン鋼管設立について”. 住友商事. 2019年4月2日閲覧。
  17. ^ 航空機エンジンリース事業の共同事業化について”. 住友商事. 2019年1月1日閲覧。
  18. ^ 航空機エンジンリース事業の共同事業化完了に関するお知らせ”. 住友商事. 2019年4月3日閲覧。
  19. ^ エアモビリティ分野に関する業務提携について”. 住友商事. 2019年4月3日閲覧。
  20. ^ 名古屋証券取引所および福岡証券取引所における当社株式の上場廃止申請に関するお知らせ”. 住友商事. 2022年4月11日閲覧。
  21. ^ Movie PlusやLaLaTV
  22. ^ * ドキュメンタリーチャンネルディスカバリーチャンネル
    * 動物チャンネルアニマルプラネット
  23. ^ パートナー | 鹿島アントラーズ オフィシャルサイト”. 鹿島アントラーズ オフィシャルサイト. プロフィール. 鹿島アントラーズ. 2021年7月1日閲覧。
  24. ^ 共同ニュースイメージリンク 「住友商事」の写真・映像 共同通信社
  25. ^ 住友商事に和解金100億円/銅不正取引でUBS”. 四国新聞社. 2022年1月25日閲覧。
  26. ^ “当社元社員の逮捕について” (プレスリリース), 住友商事株式会社, (2019年3月26日), https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2019/group/11660 2019年4月10日閲覧。 
  27. ^ 住友商事、就活学生と飲酒禁止 社員逮捕受け再発防止策発表」『毎日新聞』毎日新聞社、2019年3月29日。2019年4月10日閲覧。「会員限定有料記事」
  28. ^ “再発防止策について” (プレスリリース), 住友商事株式会社, (2019年3月29日), https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2019/group/11740 2019年4月10日閲覧, “代表取締役 社長執行役員 CEO 兵頭 誠之” 

関連項目[編集]

  • 伊藤忠商事 – 住友銀行の融資系列先であり、戦前は実質的に住友財閥の商社機能を担っていた。戦後、住友商事の成長にともない住友系列から離脱し第一銀行グループ(第一原子力グループ)の中核商社へ移行。現在はみずほフィナンシャルグループに親密。
  • 安宅産業 – 1975年(昭和50年)、経営破綻。1977年(昭和52年)、伊藤忠商事に事実上の救済合併。独立商社ではあるが戦前より住友財閥と親密であり、伊藤忠商事と共に住友財閥の商社機能を担い、これが安宅産業破綻の際に伊藤忠商事と合併する遠因でもある。詳しくは当該項目を参照。
  • 佐高信『逆命利君』(講談社文庫、1993年(平成5年)) – 1987年(昭和62年)10月2日に死去した鈴木朗夫(当時:常務取締役業務本部長)と伊藤正(当時:社長)を描く。
  • スミフルジャパン – 1970年に住友商事100%出資会社「住商フルーツ」として設立、またフィリピンにおいてバナナ生産を行う法人をThornton Venture Limited(TVL社)との合弁によるSumifru Singapore Pte. Ltdの子会社として設立したが、2016年にシンガポール法人の合弁解消、日本国内事業はSumifru Singapore社の100%出資による新会社に吸収分割し、内外スミフル事業との資本関係を終了した[1]

外部リンク[編集]

  1. ^ “住商 フィリピンのバナナ生産から撤退 株式売却へ”. 日本経済新聞. (2019年6月18日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46267980Y9A610C1TJ1000/ 2022年2月10日閲覧。