ゴドウィンの法則 – Wikipedia
ゴドウィンの法則(ゴドウィンのほうそく、Godwin’s Law)またはゴドウィンのヒトラー類比の法則(Godwin’s rule of Hitler analogies)[1]
は、議論が(そのテーマや対象範囲に関わらず)十分に長引いたとき、遅かれ早かれ、別の誰か・何かをアドルフ・ヒトラーや彼の悪事になぞらえるようになることを指す、インターネットの格言である。後述のように、何かをヒトラーと類比することそのものを批判するものではない。フランス語圏では「ゴドウィン点」と呼ばれ、議論でヒトラーやナチスを引き合いに出す人が出てきたら、その議論は「ゴドウィン点に到達した」とのように用いられる[2]。
1990年に弁護士のマイク・ゴドウィン(Mike Godwin、ウィキメディア財団の法律顧問・法務調整担当)によって提唱されたこの法則は、もともとはUsenetニュースグループの議論についてのものだった。現在この法則は、インターネット上のフォーラム、チャットルーム、コメントスレッドなど、あらゆるオンライン上の継続的な議論に、またヒトラーに例える論法が持ち出された演説、文章、その他の修辞にも使われている。
ゴドウィンは、この法則を1994年に『WIRED』US版の記事[3]で紹介し、広く知られるところとなった[4]。
ゴドウィンの法則には多くの系が存在し、その一部は(ゴドウィン自身にも採用されたことで)他の系より公式なものとみなされている[1]。
ゴドウィンの法則自体も、議論の相手が行った類比を(実際には適切な類比であっても)誇張表現だと不当に貶めるという形で、話題逸らしや検閲に悪用されることがある[5]。米国の法律家・ジャーナリスト・著述家のグレン・グリーンウォルドはこの観点から、この「法則」(もしくは「少なくともドイツの犯罪とのあらゆる類比行為を禁じるよう主張する、この法則の劣化バージョン」)を批判している[6]。
ゴドウィンの法則は誤謬の告発を旨としているものではなく、不適切で誇張された対比の発生率を下げるためのミーム的な道具として作られた。ゴドウィンは「あえて自然法則や数学法則のような表現にしてはいるが、この法則は常に修辞上・教育上の目的のためのものだ。要するに自分は、誰かを安易にヒトラーになぞらえる軽薄な連中に、もう少し真面目にホロコーストのことを考えてほしかったのだ」と書いている[7]。
ゴドウィンは「1990年にミーム学の実験として『ゴドウィンの法則』を導入した」[3]と述べている。
1994年10月、『WIRED』誌 US版[3]に掲載された。
2012年には、「ゴドウィンの法則」はオックスフォード英語辞典の第3版に収載された[8]。
ゴドウィンは2015年12月に、当時のアメリカ合衆国の共和党の大統領候補者であったドナルド・トランプをナチスやファシストになぞらえる議論について、こうコメントした。「もしあなたが十分に思慮を重ねた上で、本当に歴史的観点からの気づきを促せるのなら、トランプであれ他の政治家であれ、ためらうことなくヒトラーに言及すればいい」。2017年8月には、ゴドウィンはFacebookとTwitterで、2日前にヴァージニア州シャーロットヴィルで行われた右派デモ Unite the Right を念頭に、オルタナ右翼の指導者達をナチスと比較することを支持し、奨励した。
関連項目[編集]
発展文献[編集]
外部リンク[編集]
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