大日影トンネル遊歩道 – Wikipedia

大日影トンネル遊歩道入り口(上り側(深沢口)から撮影)

大日影トンネル遊歩道(おおひかげトンネルゆうほどう)は、山梨県甲州市(旧・東山梨郡勝沼町)にある東日本旅客鉄道(JR東日本)中央本線の大日影トンネルを再利用した遊歩道である。勝沼ぶどう郷駅の上り方(東京方)に位置する。2016年(平成28年)4月25日より当面の間閉鎖中となっている(後述)。

トンネル内部・開渠水路部分

大日影トンネルは、1896年(明治29年)に始まった中央本線八王子駅 – 甲府駅間建設に伴い掘削された。レンガ積みで造られた同トンネルは1902年(明治35年)に貫通、1903年(明治36年)に同区間は単線で開通し、勝沼・塩山・甲府などの甲州街道沿いの町々と八王子・東京との間の物流の所要時間は短縮され、ぶどうやワインの輸送量が爆発的に増加するなど、鉄道とトンネルの開通は地域の経済発展に大きく寄与した。輸送量の増大に合わせ1931年(昭和6年)に同区間の電化が行われた。

1968年(昭和43年)には複線化に伴い、並行して掘削された上り専用の新大日影トンネルが開通し、単線であった従来の大日影トンネルは下り専用とされた。1997年(平成9年)には線形改良等のため、隣に下り専用の新大日影第2トンネルが開通し、大日影トンネルは用途廃止された。その後は長らく放置されていたが、2005年(平成17年)にJR東日本から旧勝沼町へ無償譲渡され、2007年(平成19年)8月に遊歩道として整備された[1]

大日影トンネルの上り側出口(深沢口)に近接する深沢トンネルは、甲州市の管理する深沢トンネルワインカーヴに転用され、個人・法人向けに有料で貸与されている。両トンネルの間に、休憩所兼勝沼ワインカーヴ案内所が設けられている。

大日影トンネルは、深沢トンネル、勝沼宿の旧山梨田中銀行、祝橋などとともに、甲州市のワイン醸造を支えたインフラ施設・建築物として、2007年(平成19年)3月、経済産業省の近代化産業遺産に認定されており[2]、甲州市では、これらの産業遺産を徒歩でめぐるルートとして「勝沼フットパス」を整備した。

2011年(平成23年)5月頃より、トンネルの入口付近を中心に漏水が確認され始め、台風や豪雨のたびに漏水が激しくなり、同年12月には専門業者による調査が行われ、経年経過に伴う補修が必要との報告がされた。このため、トンネルを管理する甲州市は、2012年(平成24年)1月18日から補修工事のために閉鎖した。補修工事は長期間におよんだが、2013年(平成25年)4月2日までに工事が終わり、通行が再開された[3]

しかしながら、2015年(平成27年)度に実施したトンネル健全度調査で、漏水及び経年劣化への予防対策が必要と判断され、2016年(平成28年)4月25日から再び当分の間閉鎖されている[4]

遊歩道概要[編集]

  • 全長 : 1367.8 m
  • 全幅 : 3.57 m – 3.74 m
  • 高さ : 4.90 m
  • 管理 : 甲州市
  • 営業時間 – 9:00 – 15:00

内部は、レンガ、壁面にこびりついた煤煙、約330 mの開渠水路、待避所(36か所)、勾配標、キロポスト、ケーブル、保線用軌道自転車などの様子を間近に見学することが可能である。待避所のいくつかには、建設当時の様子などを紹介するパネルが掲示されている。片道約30分。トンネル内には2箇所に休憩所が設置されているがトイレはない。
また勝沼ぶどう郷駅に向かって25.2 ‰、25 ‰、の下り勾配となっている。

アクセス[編集]

中央本線勝沼ぶどう郷駅下車すぐ

外部リンク[編集]