ケンタウルス座α星は、ケンタウルス座で最も明るい恒星で全天21の1等星の1つ。 ケンタウルス座の2つの1等星。左がα星。 太陽系から約4.3光年しか離れておらず、最も近い恒星系である。ケンタウルス座α星系は三重連星であり、ケンタウルス座α星A、ケンタウルス座α星B、そして暗く小さな赤色矮星であるプロキシマ・ケンタウリから成る。α星Aとα星Bは肉眼では一つの恒星に見える。α星Aとα星Bをあわせた見かけの明るさは-0.1[1]であり、全天では、シリウスとカノープスに次いで3番目に明るい。α星A・α星Bとプロキシマ・ケンタウリは2.2度離れて見える。プロキシマ・ケンタウリはα星A・α星Bと重力的に結合していると考えられている[13]。 α星Aは質量が太陽の1.1倍、明るさは太陽の1.519倍である。スペクトル型は太陽と同じG2V型[14]。第1伴星のα星Bはそれよりも小さく、質量は太陽の0.907倍、明るさは太陽の半分しかない[6]。この2つの恒星は互いの共通重心(英語版)を79.91年で公転している[15]。2つの恒星間の距離は太陽-土星間(約10au)から太陽-冥王星間(約40au)まで変動する。 第2伴星プロキシマ・ケンタウリは地球から肉眼では観測出来ないにも関わらず、太陽系に最も近い恒星として知られている。その距離は4.246光年[注 2]で、α星A・α星Bよりわずかに近い。α星A・α星Bからの距離は0.2光年で、天文単位で表すと15,000auとなる[16]。これは太陽から海王星(30au)までの距離の約500倍にもなる。2016年8月にプロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーン内を公転する惑星、プロキシマ・ケンタウリbが発見された[17]。そのため、現在では小型のスターチップ(英語版)を送り込み、プロキシマ・ケンタウリをフライバイして探査を行う、スターショット計画の構想が練られている[17]。 先述の通り、ケンタウルス座α星は、肉眼では単一の恒星に見える。α星Aとα星Bの見かけの明るさは-0.1等級[1]である。ケンタウルス座α星系は通常、異なる恒星として識別され、主星をα星A、伴星をα星Bと定義している。第2伴星のプロキシマ・ケンタウリはα星Cとも呼ばれるが、α星A-α星B間の距離よりもはるかに遠くにある。しかし、重力的に結び付いているとされている。プロキシマはα星Aとα星Bからは2.2度ほど離れている[18]。これは満月の視直径の約4倍であり、α星とβ星の間隔の約半分の角度である。プロキシマは連星の典型例のように、楕円軌道で公転しているとされているが、まだ直接的な証拠は発見されていない[19]。 肉眼で観測出来るケンタウルス座α星が2つの恒星から成る事を前提にして、ケンタウルス座α星ABと呼ぶ事もある。この「AB」は、それぞれの恒星を1つの主星として扱い、伴星の見かけ上の重心を示している[20]。「AB-C」とするとプロキシマ・ケンタウリがα星Aとα星Bの連星系の周り、全体を公転している事を表す。古い文献では「A×B」と記されているものもあるが、現在では使用されていない。太陽からα星ABの共通重心までの距離は、それぞれの恒星までの距離とほとんど変わらない。そのため、上記の見かけ上の重心とは別に、1つの恒星だとして考える事もある[21]。 星震学の恒星彩層、および恒星の自転運動の研究から、ケンタウルス座α星系のそれぞれの恒星の年齢に大きな差は無い。しかし、その年齢は観測結果によって、45億年から70億年の間[22]と、かなり誤差がある。星震学の分析に基づくと、推定年齢は48.5億±5億年になる[10]。しかし、その他にも50億±5億年[23]、52億年から71億年[24]、64億年[25]、65.2億±3億年[26]という結果も得られている。また、恒星の彩層活動による分析では、44億から65億年、自転速度の観測からは50億±3億年という値が得られている[22]。 ケンタウルス座α星は星間雲Gクラウドの近くにあるとされ、最も近い恒星系は褐色矮星[注 3]の連星系WISE J104915.57-531906.1で、約3.6光年離れている[27]。 ケンタウルス座α星A[編集] ケンタウルス座α星Aはケンタウルス座α星系の主星で、太陽よりわずかに大きい。スペクトル分類は太陽と同じG2V型で、可視光では黄色に見える[28]。質量は太陽より10%大きく、半径は23%大きい。推定自転周期は約22日で、自転速度は秒速2.7±0.7kmになる[8]。この自転周期は太陽の約25日よりもわずかに短い。α星Aのみの視等級は0.01等[2]。 ケンタウルス座α星B[編集] ケンタウルス座α星Bはケンタウルス座α星系の第1伴星で、太陽より小さく暗い。スペクトル分類はK1V型で、橙色に光る[28]。質量は太陽の10%小さく、半径は14%小さい。推定自転速度は約41日で、自転速度は秒速1.1±0.8kmになる[8]。1995年までは自転周期は36.8日とされていた[29]。α星Bはα星Aよりも強いX線を放射しており[30]、α星Bの光度曲線は短時間に著しく変化し、フレアが観測される事もある[30]。α星Bのみの視等級は1.33等級[11]。 ケンタウルス座α星C(プロキシマ・ケンタウリ)[編集] ケンタウルス座α星Cはケンタウルス座α星系の第2伴星で、通常は「プロキシマ・ケンタウリ」と呼ばれる。プロキシマの意味は、ラテン語で「最も近い」という意味であり、太陽系に最も近い恒星であることから来ている。スペクトル分類がM5.5Ve[31]の小さな赤色矮星である。BV色指数は1.82[31]で、質量は太陽の12.3%[32]、木星の129倍しかない。 太陽と比較したケンタウルス座α星の大きさと色 α星Aとα星Bは公転によって2秒角から22秒角、離れて見える[33]が、どちらにせよ、非常に接近しているので肉眼で分離するのは困難であるが、双眼鏡か5cm程度の望遠鏡があれば容易に可能である[34]。
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