内閣不信任決議 – Wikipedia
この項目では、日本の内閣不信任決議について説明しています。各国における行政府に対する不信任議決権については「不信任議決権」をご覧ください。 内閣不信任決議(ないかくふしんにんけつぎ)は、議会が内閣に対して信任しないことを内容として行う決議で、現に行政を担っている特定の内閣を信任せず退陣を求めることを内容とする決議[1]。 内閣は議会の信任を要するとすることは議院内閣制の核心的原則である[2]。 したがって、内閣制度を採用する国のうちでも議院内閣制をとる国においては特に重要な意味を持ち、政治制度としては、議会が不信任決議を行った場合には内閣は当然に総辞職する制度をとるか、もしくは内閣は総辞職か議会の解散かの二者択一とする制度のいずれかがとられる[3]。両院制を採る国においては内閣は特に下院の信任を要するものとされ、内閣不信任決議も下院のみに与えられる権限であることが多い。 内閣不信任決議が特定の内閣を信任せず退陣を求めることを内容とする決議であるのに対して[1]、特定の内閣に対しその職において行政権を行使することを委任することを内容とする決議として内閣信任決議がある[1]。内閣信任決議も現在の内閣を信任すべきか否かを問題とする点で内閣不信任決議と共通し、内閣不信任決議案が可決された場合と内閣信任決議案が否決された場合は、いずれも現在の内閣が議会からの信任を得ていないという点で共通する。このようなことから便宜上、内閣信任決議についてもこの項目で扱う。 日本国憲法下[編集] 日本国憲法第69条は「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職をしなければならない」とし、衆議院の内閣不信任決議と内閣信任決議について定めている。日本国憲法下においては内閣は第一次院たる衆議院における指導的勢力を基礎として存立する[4]。 したがって、内閣が衆議院において議員の過半数からの信任を失っている場合にはその存立を維持することができないこととなり、日本国憲法第56条第2項の規定により衆議院で出席議員の過半数で内閣不信任決議案が可決または内閣信任決議案が否決されたときは、10日以内に衆議院が解散されない限り内閣は総辞職をしなければならないことになる[5](日本国憲法第69条)。 なお、憲法第69条は「衆議院で」と規定している通り、内閣不信任決議及び内閣信任決議は衆議院のみに認められる権能とされており、仮に参議院で「不信任」の名の下に内閣の問責を決議しても憲法69条のような法的効果を生ずることはなく政治的な効果を生じるにとどまると解されている[6][7]。 内閣不信任決議案あるいは内閣信任決議案が衆議院に提出された場合、衆参両院の本会議・委員会における内閣提出による全ての議案の審議・審査・政府質疑が停止されることになる[8]。 決議の内容[編集] 内閣不信任決議[編集] 憲法第69条の「不信任」とは、現に行政を担っている特定の内閣を信任せず退陣を求める意思をいう[1]。主に野党が内閣(政府)を倒す(これを倒閣という)か、弱体化させるための手段として使用する。 先述の通り、内閣は内閣不信任決議が衆議院において可決された場合、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならないが(日本国憲法第69条)、実際は可決されたら即、衆議院解散かつ総選挙を選択する事が多い。 この憲法69条の効果を生じさせるための「不信任」については、決議の文章のうちに明文をもって示すまでの必要はないとされるが[9]、少なくとも不信任の意思を明確にするものである必要があるとされる[9][10]。 議員が内閣の不信任に関する動議もしくは決議案を発議するときは、理由を附し、50人以上の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない(衆議院規則第28条の3)。したがって、内閣不信任決議案の提出には少なくとも発議者1人と賛成者50人の計51人が必要となる。 内閣不信任決議案は他議案同様に、議長の諮問を受けて議院運営委員会が議事日程を作成する。ただし内閣不信任決議案は先決問題であり他の一般の議事に優先するので、議院構成の案件があったり、一事不再議(同一会期中に一度のみ)に抵触するといった理由がなければ議運は速やかな上程を答申する[11](内閣不信任決議案が内閣信任決議案と競合する場合については次節を参照)。もっとも、衆議院の解散は一切の議事・動議に優先して扱われるため、解散詔書が発せられたときは、議長は議事を直ちに中止して詔書の朗読を行うことになる[12][13][14](衆議院解散とともに本案は廃案となる)。提出者は委員会審査を省略して本会議に付することを求め、本会議はこれを認めるのが慣例である[11]。 内閣不信任決議案についての議事手続としては、 趣旨弁明 本案についての反対討論
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