シトロン – Wikipedia

シトロン

シトロンの果実

分類
学名
Citrus medica
L.
和名
シトロン
マルブシュカン(丸仏手柑)
英名
citron

シトロン(仏: citron; 学名: Citrus medica)は、ミカン科ミカン属の常緑低木樹。漢名は枸櫞(くえん)。マルブシュカン(丸仏手柑)ともいう[1]。レモンと類縁関係にある。ミカン科の常緑小高木。レモンと似ているが葉や果実がより大きく、香りもより強い。ブッシュカンの日本在来種で、九州南部の海岸地帯で栽培。寒さに弱く、枝にとげがあり、葉は楕円形。花は薄紫色。果実は長卵形でひだがあり、鮮黄色の広楕円形で冬に熟す。酸味が強く生食できない。果実は砂糖煮、果汁は飲料、果皮や葉は香料にし、またクエン酸をとる。

リンネの『植物の種英語版』(1753年) で記載された植物の一つである[2]

原産はインド東部、ガンジス川上流の高地。しかし紀元前にはすでにローマや中国に伝来していた。またアメリカ大陸にはコロンブスによる到達以降に伝わった。日本では「本草図譜」(1828年)に記載されているので、江戸時代以前に伝わっていたと思われる。

枝にはとげが多い。葉は淡黄緑色、細長い楕円形で縁に細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。新芽や花は淡紫色を帯びている品種が多く、花弁は細長い。

熟した果実の表面は黄色く、形状は品種により様々だが、一般に紡錘形で重さは150 – 200g。また頂部に乳頭が発達している。果皮はやわらかいが分厚く、果肉が少なく、果汁も少ない。また果肉がかなりすっぱい品種とそうでない品種がある。

ユダヤ教では一部の品種の果実をエトログ(ヘブライ語: אֶתְרוֹג‎)と呼び、「仮庵の祭り」で新年初めての降雨を祈願する儀式に用いる四種の植物の1つとする。

21世紀現在のフランス語でシトロン(citron)と言った場合は本種ではなくレモンを指す。現在のフランス語でシトロンを示す場合はセドラcédrat)と呼ぶ。ドイツ語 Zitrone・オランダ語 citroen も、主に「レモン」の意味で使われる。

ブッシュカン(仏手柑)はシトロンの変種 (C. medica var. sarcodactylus) である。

果汁は飲料に使われたり、クエン酸の原料にされたりする。果皮は香料の原料とする他、砂糖漬けに加工され、シュトレン、パネットーネ、スフォリアテッレ、カンノーロなどの洋菓子に用いられる。

関連項目[編集]