デイゴ – Wikipedia

デイゴ(梯梧、Erythrina variegata)は、マメ科の落葉高木。インドやマレー半島が原産。日本では沖縄県が北限とされている。
鹿児島県奄美群島でも加計呂麻島の諸鈍海岸で約80本の並木道となっているなど、あちこちでデイゴの大木が見られるが、交易船の航海の目印とするため等で沖縄から植栽されたものといわれる[1]

春から初夏にかけて(加計呂麻島では5-6月に)咲く赤い花が知られる(ただし、毎年満開となる保証はなく、年毎の差が大きい)。

落葉性とはいっても、冬に全木が落葉することはあまりなく、花が咲く枝が落葉する傾向がある。花は枝先に穂状に出る。葉は大きな幅の広い葉を3枚つける三出複葉で、クズの葉に似ている。木は太くなるがあまり高くならず、横に枝を張る傾向がある。公園や街路樹としてよく栽培されるが、根本や根からも芽が出るので人家の庭に植えられることは少ない。材は柔らかく、加工しやすいため、漆器の材料として使われる。

近年では、台湾方面から飛来・帰化したとされるコバチの一種デイゴヒメコバチ (Quadrastichus erythrinae) による被害が相次いでいる[2]。このハチはデイゴの葉や幹に産卵して虫こぶを作り、木を弱らせて枯らす場合もあるため、沖縄県では対策を急いでいる。

デイコエリスリナともいう。なお、海紅豆(かいこうず)が別名とされることが多いが、これは別種のアメリカデイゴ(鹿児島県の県木)のことである。

沖縄県外では奄美群島のほか、小笠原諸島にも自生しており、現地ではムニンデイゴビーデビーデ南洋桜(なんようざくら)などとも呼ばれる[3]。ただしこの小笠原諸島のデイゴを本種とは別のムニンデイゴErythrina boninensis)という固有種であるとする説もかねてより存在している[4]

沖縄県の県花でもあり、1967年(昭和42年)に県民の投票によって「沖縄県の花」として選定された。デイゴが見事に咲くと、その年は台風の当たり年で、天災(干ばつ)に見舞われるという言い伝えがある(THE BOOMの楽曲「島唄」の歌詞にも書かれている)。また、県内では「やしきこーさー(屋敷壊さー)」とも呼ばれることもあるが、これは根の力が強く、家の近くに植えると根が伸びて家を傾かせてしまうからであるという。

琉球大学で学生が配る合格電報の文面は、「デイゴ咲く」となっている。

  1. ^ 鹿児島県瀬戸内町役場商工観光課編『まんでぃ「加計呂麻島・請島・与路島をめぐる旅」』p158「デイゴ並木」 2016年、鹿児島市、トライ社
  2. ^ デイゴヒメコバチ”. 天敵Wiki版Web昆虫図鑑. 2012年8月18日閲覧。
  3. ^ ダニエル・ロング、橋本直幸『小笠原ことばしゃべる辞典』3、南方新社〈小笠原シリーズ〉、2005年5月1日、157頁。ISBN 4-86124-044-1。
  4. ^ 『小笠原植物図鑑』豊田武司、アボック社、1981年10月10日、第2版、100頁。ISBN 4-900358-15-0。「小笠原固有の種としたが,自生説,移植説もあり,特に近年,屋久島~琉球,台湾にかけて分布するデイゴと同一種とする意見が多くなっている。」

関連項目[編集]