第20代総選挙 (大韓民国) – Wikipedia
第20代総選挙は、大韓民国の立法府である国会を構成する議員を改選するため、2016年4月13日に行われた[1]選挙で、1948年5月の初代総選挙から数えて20回目となる。大韓民国では、選挙回数について「第○回」ではなく「第○代」と数え、名称も「総選挙」(총선거)ではなく「総選」(총선)と表記するのが一般的である。
国会議員の任期4年が満了したことに伴い行われた選挙である。今回の総選挙は任期3年目となる朴槿恵大統領の政権運営に対する評価を示す選挙となった。そして与党であるセヌリ党が過半数を回復できるか否か[2]、最大野党である「共に民主党」の前身である新政治民主連合を離党した安哲秀が結成した「国民の党」が院内交渉団体の結成に必要な20議席以上を引き続き維持[3]できるかも焦点となった。選挙の結果、「与党が大勝する」という政界やメディアの当初予想を覆し、与党・セヌリ党が過半数を大きく割り込み惨敗、共に民主党や国民の党など野党が議席の3分の2を掌握する結果となり、16年ぶりに与党が議会で少数勢力に転落する「与小野大」の状況が出現した。
前科者の候補者問題が過半数を超えていたことも問題になった前回の総選挙までは禁固刑以上の重さの前科が公開基準だったが、選挙前の2012年の公職選挙法改正で罰金100万ウォン(約10万円)以上の罪の前科記録が公開されるようになった。[4]。立候補登録期限の最終日の立候補登録した者を含まずに前科者の候補者は前回の2012年の国会議員総選挙候補者の186人の記録を上回る253人いた。前回当選した者のうち、国会の会期中に政治資金問題などで23人が国会議員として失職しているなど議員の道徳の欠落を問題視する声もある。2016年の候補者のうち前科4犯以上の候補は15人、前科10犯も1人。共に民主党候補には学生運動による前科もあったが、詐欺、公文書偽造、賄賂、脅迫による前科持ちが多数いた。 「兵役義務を果たしていない者」の割合は韓国の一般人の割合(10%)より高く、男性候補者583人に対して17%に上る102人だった[5]。今回は候補者の4割が詐欺、横領、飲酒運転、暴行、窃盗、殺人未遂など前科を持っている者がいるため、遵法精神に欠けておきながら、立候補する態度を批判が韓国世論に起きている[6][7]。
- 出典:선거일정(選挙日程)、中央選挙管理委員会選挙統計システム、2016年5月11日閲覧.
基礎データ[編集]
- 大統領 : 朴槿恵
- 選挙事由:任期満了
- 有権者:満19歳以上の大韓民国国民
- 被選挙権:満25歳以上の大韓民国国民
- 確定選挙人数:42,100,398名(国外不在者を含む)
- 議員定数:300議席
- 地域区:253議席
- 比例代表:47議席
- 投票:2票制。候補者(地域区)と政党(比例代表)へ票を投じる(記号式投票)
- 投票日 : 2016年4月13日
- 選挙制度:小選挙区比例代表並立制。重複立候補は禁止。
- 地域区:小選挙区、最多得票を得た候補者が当選
- 比例代表:政党に投じられた得票に比例して議席配分。阻止条項あり(得票率3%未満もしくは地域区5議席未満の政党)。
- 比例代表の配分方法:阻止条項をクリアした政党(議席割当政党)の得票を議席割当制党の合計得票で割り、算出された商の整数部分を各議席割当政党に配分。残る議席は小数点以下の商が大きい議席割当政党の順に配分[8]。
253の地域区には934名が、比例代表には21政党から合わせて158人が立候補した[9]。此の結果、地域区における競争率は(立候補登録を締め切った)3月25日時点で3.73倍となり、前回選挙の3.76倍を若干下回る結果となった。また政党別では、与党であるセヌリ党が248名と最多、野党は共に民主党が235名、国民の党が173名、正義党が53名、無所属は137名。各選挙区別で最も高い競争率を記録したのは10名が立候補登録したソウル市鍾路区[10]。最小はセヌリ党候補1名のみが立候補登録した慶尚南道統営・固城選挙区で小選挙区制が導入された第13代総選挙以降初めての無投票当選となった[11]。女性候補者は地域区で98名、比例代表では75名が立候補した[12]。
記号 | 政党名 | 候補者数 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | セヌリ党 | 248 | 地域区選出議員5名以上、又は前回総選挙あるいは第6回全国同時地方選挙の政党投票で3%以上の得票を得た政党には固定した記号が与えられる。 |
2 | 共に民主党 | 234 | |
3 | 国民の党 | 171 | |
4 | 正義党 | 51 | |
5 | キリスト自由党 | 1 | 両党は国会議員が1名いるため、5番を優先して割り振られた。候補者がいない場合は変動記号となる。 |
民主党 | 8 | ||
変動 記号 |
コリア | 1 | |
雇用福祉年金先進化連帯 | 2 | ||
共和党 | 1 | ||
労働党 | 9 | ||
緑色党 | 5 | ||
大韓民国党 | 1 | ||
民衆連合党 | 56 | ||
福祉国家党 | 1 | ||
真理大韓党 | 2 | ||
親潘統合 | 1 | ||
親潘統一党 | 2 | ||
親潘平和統一党 | 1 | ||
統一韓国党 | 1 | ||
韓国国民党 | 1 | ||
ハンナラ党 | 4 | ||
無所属 | 133 |
選挙結果[編集]
選挙の結果、与党セヌリ党(選挙時146議席)は目標に掲げていた過半数の確保に失敗、さらに122議席に大きく議席を減らし第一党の地位も失い惨敗。共に民主党(同102議席)は地盤である全羅南道、全羅北道の選挙区のほとんど、光州広域市のすべての選挙区で国民の党に奪われ3議席にとどまったが、首都圏などで勝利し議会第一党となる123議席に大きく議席を増やした。国民の党(同20議席)は目標としていた20議席を大きく上回る38議席を確保しキャスティング・ボートを握ることに成功した。正義党(同5議席)は1議席増の6議席となった。無所属は、親朴槿恵系議員と対立しセヌリ党を離党したユ・スンミンなど11人が当選した。選挙前に議席を有していたキリスト教自由党(1議席)と民主党(1議席)は議席を失った。なお投票率は58.0%で前回総選挙を3.7%上回った。
- 投票率:58.0%(投票者数24,432,533名/選挙人数42,100,398名)
- 全国平均投票率58.0%を上回った地域については太字で強調した。
党派 | 地域区 | 比例代表 | 合計議席 | 議席増減[13] | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
得票数 | 得票率 | 議席 | 得票数 | 得票率 | 議席 | ||||
共に民主党 | 8,881,369 | 37.0% | 110 | 6,069,744 | 25.5% | 13 | 123 | △21 | |
セヌリ党 | 9,200,690 | 38.3% | 105 | 7,960,272 | 33.5% | 17 | 122 | ▼24 | |
国民の党 | 3,565,451 | 14.9% | 25 | 6,355,572 | 26.7% | 13 | 38 | △18 | |
正義党 | 395,357 | 1.6% | 2 | 1,719,891 | 7.2% | 4 | 6 | △1 | |
キリスト教自由党 | 1,376 | 0.01% | 0 | 626,853 | 2.6% | 0 | 0 | ▼1 | |
民主党 | 17,034 | 0.1% | 0 | 209,872 | 0.9% | 0 | 0 | ▼1 | |
その他の政党 | 257,879 | 818,773 | 3.6% | 0 | 0 | ±0 | |||
無所属 | 1,683,264 | 7.0 | 11 | - | 11 | ▼6 | |||
合計 | 24,002,420 | 253 | 23,760,977 | 47 | 300 | ||||
第20代総選挙 党派別議席数
■=共に民主党/■=セヌリ党/■=国民の党/■=正義党/■=無所属 |
- 出典:선거통계 시스템(選挙統計システム)。地域区は”제20대 국회의원선거 정당별 득표수 현황(지역구 및 비례대표선거별)第20代国会議員選挙政党別得票数現況(地域区及び比例代表選挙別)”(中央選挙管理委員会お知らせ)
- 出典:당선인 각종통계(当選人各種統計)選挙統計システム
- 出典:개표진행상황(開票進行状況)選挙統計システム
- セヌリ党、国民の党、共に民主党の広域市・道別得票率地図。色が濃いほど支持が強く、セヌリ党は慶尚道を中心とした東部、国民の党は全羅道の南西部で高い支持を得ていることを示してる。
当選議員[編集]
小選挙区[編集]
共に民主党 セヌリ党 国民の党 正義党 無所属
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