ロードモナーク – Wikipedia

ロードモナーク』 (LORD MONARCH) は、日本ファルコムによる箱庭系リアルタイムストラテジーゲーム。

本作は、日本ファルコム設立10周年作品として、1991年にPC-9800シリーズ用ゲームソフトとして発売され、後にスーパーファミコンやWindowsなどに移植されたほか、携帯電話向けアプリとしても移植された[1]
本作は木屋善夫がプロデュースするドラゴンスレイヤーシリーズの第7作目という位置付けだが、シリーズ中唯一ドラゴンが登場しない作品でもある(ただし、アドバンスドロードモナークには、プレイヤーユニットとして、デフォルメされたドラゴンを主人公としたマップセットが存在する)[1]

なお、PC-9800シリーズ用として発売された二作(無印、アドバンスド)にはエディットモードが用意され、独自のマップを作成・プレイする事が可能であった。この機能は後々の製品には受け継がれなかったが、後に有志の手によってマップ作成用ソフトが制作されており、オンラインなどを始めとする一部の製品ではこのソフトで作成した独自のマップをプレイする事が可能となっている。

ルール・システム[編集]

各マップには4つの国が配置されている。そのうち1つの国に対し、プレイヤーはユニットと呼ばれるキャラクターに命令を出すことができる。勝利条件は、各ユニットに命令を出し、他の3つの国を滅ぼすことである。ユニットは拠点から生産され、拠点はユニットが作成する。日数が経過することで拠点やユニットの兵力が増える。他国と接触すると領土合戦になり、最終的に君主ユニットを攻め倒すか、拠点とユニットを全て消滅させると国が滅びる。自国(および他国)の勢力は「総人口(拠点内人口)・(ユニット人口)」と「資金」で表される。税率設定があり、税率を上げると資金が集まる一方ユニットの生産量が下がり、税率を下げるとその反対になる[1]。また、どの国にも属さない中立の敵が存在し、拠点やユニットを無差別に破壊・攻撃する。

上級マップになると、「障害物を置く」「橋を架ける」「ユニットを一か所に集めて拠点を防衛する」などの命令を駆使したり、総人口(領土)と資金のバランスを考え、税率をこまめに変更せねば勝利できなくなり、パズルゲームや戦略シミュレーション要素も含まれる。

PC-9800版アドバンスド・ロードモナークより、全体命令の指示、ユニット登場時の初期命令が指定できるようになり、よりスムーズな操作が可能となった。
ウィンドウズ版として作成された移植作では、マウスによる範囲指定で全体命令を指定することも可能となっている。

各マップには一律に日数制限があり、それを超えると失敗となる。日数内で勝利すると次の面への繰り越し日数が生じるが、消費日数や占領率などの成績によって日数が決定される。初段までは繰越日数が1000日増えるごとに級が1つ、初段以降は1万日増える毎に段位が1つあがり、クリア後に段位認定証が表示される。最高段位は名人であるが、初代ロードモナークでは繰越日数65535を超えることが想定されておらず、65535日を超えた場合、繰越日数がマイナス表示されるといった事象が発生した。

マップは、中世のヨーロッパや戦国時代などの戦時的なものから、赤ちゃんや動く食べ物などのメルヘンな世界感も用意されている。しかし、キャラクター名、グラフィック、BGM、コマンド名が変わるだけでゲームシステムに変更はない。

シリーズ一覧[編集]

ロードモナーク (LORD MONARCH)
1991年3月PC-9800シリーズ用に発売された。ファルコムの10周年記念作品である[1]。その後グラフィックやサウンドが強化されFM TOWNSにも移植された。
2002年9月、プロジェクトEGGから、PC-9800シリーズ版をエミュレートしたMicrosoft Windows版が発売された。
アドバンスド ロードモナーク (Advanced LORD MONARCH)
1991年11月発売。PC-9800シリーズ用。アルゴリズムが強化されノーマル・アドバンスドの2モードがある。FM TOWNSにも移植された。
2002年12月、プロジェクトEGGから、PC-9800シリーズ版をエミュレートしたWindows版が発売された。
ロードモナーク (LORD MONARCH SUPER FAMICOM)
1992年10月発売。スーパーファミコン版ロードモナーク。キャラクターがいくつか追加された。
ロードモナーク とことん戦闘伝説
1994年6月発売。メガドライブ版ロードモナーク。PC版のロードモナークとアドバンスドロードモナークのマップを収録。更に32のストーリーが追加された。発売はセガ・ファルコム、開発は大宮ソフト。2008年8月29日にはWiiのバーチャルコンソールでダウンロード販売が開始され、2019年9月19日発売のメガドライブミニにも収録された。BGMは谷本真規作曲による新曲が使用されている。
 登場人物
   アルフレッド
   このゲームの主人公。モナーク国の王子。無鉄砲な性格の16歳。王位を継ぐための訓練として、守り役のランス老とともに山賊退治の戦いに乗り出す。
   ルビア
   モナークの隣国マルティカ国のお姫様。国が攻められたところをアルに救われ、彼とともに行動するようになる。勝ち気な性格。
   ランス老
   アル王子の守り役で、戦いにおける軍師的なキャラクター。アル王子の無鉄砲ぶりにいつも手を焼いている。
   ゲッシュー王子
   ルビアに惚れているブライティー帝国の王子。高慢ちきな性格で、アルの事をライバル視している。
   ジュゼッペマイヤー
   マルティカ国に住む伝説の錬金術師。敵に捕らわれていたところをアルに救われ、魔法のアイテムをくれる。
   スパンキー
   モナーク王国の危機を知らせにきた妖精。後にアルとともに行動し、アドバイスもしてくれるようになる。[2]
ロードモナーク オリジナル (LORD MONARCH Original)
1996年6月発売。Windows版ロードモナーク。マップをロードモナーク、アルゴリズムをアドバンスドロードモナークから移植(ただし、アルゴリズムを強化した分、大半のマップにアレンジを加えることで難易度を調整している)。税率のオート設定が可能になった。
2005年9月、ソースネクストから廉価版パッケージが発売された。
ロードモナーク ファースト (LORD MONARCH First)
1997年3月発売。Windows版ロードモナーク オリジナルを初心者向けにし、価格を下げて販売。
ロードモナーク オンライン (LORD MONARCH Online)
1997年3月公開。Windows対応のフリーソフトで、オリジナルともプロとも異なる独自のマップを収録している。有志者によってマップエディタなどが作られた。なお、オンラインとつくが、インターネット配信という意味であり、人間同士のネット対戦ができるというわけではない。
ロードモナーク プロ (LORD MONARCH Pro)
1997年5月発売。Windows対応。アドバンスド ロードモナークの移植版。ただし、BGMはアドバンスドのものではなく、他のファルコム作品のものに変更されている。
2005年9月、ソースネクストから廉価版パッケージが発売された。
ロードモナーク ファースト α(LORD MONARCH First α)
1997年10月発売。NECインターチャネルと花王が提携し展開していたコンビニでのWindows用ソフト販売サービス「CD-WAVE」で販売。基本は『ロードモナーク ファースト』と同じだが、ステージの半分が独自マップだった。
モナークモナーク (Monarch Monarch)
1998年10月発売。Windows対応。従来のロードモナークシリーズとは異なり、クォータービューになり高さの概念が加わった。
2005年9月、ソースネクストから廉価版パッケージが発売された。
ロードモナーク -新・ガイア王国記-
1998年12月発売。プレイステーション版ロードモナーク。従来のロードモナークと同じだが、100枚の新しいマップが作られた。マップ作成用ソフトの開発者など、ファンサイトの有志者によるマップも収録。発売は東芝EMI。ベスト版は東芝EMIがゲーム事業から撤退した為、権利を保有しているハムスターから発売された。2008年5月28日にはゲームアーカイブスでPSP、PS3向けにダウンロード販売が開始。
みんなのローモナ
1999年4月発売。Windows対応。今までのWindows版オリジナル、プロ、ファースト、オンラインのほとんどすべてのマップを、難易度を下げた上で収録。
みんなのモナ2
1999年12月発売。Windows対応。システム、マップはモナークモナークと同じで難易度は低下した。時計、スクリーンセーバーなども付属。
ロードモナークスペシャル オリジナル&プロ
2002年3月発売。Windows対応。ロードモナークオリジナルとプロを合わせた作品。
携帯版ロードモナーク
2004年12月にVアプリ(現・S!アプリ)版、2005年4月にiアプリ版として登場している。

オリジナルスタッフ[編集]

ロードモナーク[編集]

ロードモナーク オリジナル[編集]

  • プログラム:綱島貴博、永島純、吉田充、黒坂敦
  • アート&グラフィック:金井まり子、下枝孝夫、小野聡子、村上星児、荒木健、梶谷幸人、笠原真佐枝、新津誠、矢吹浩之
  • サウンド:Falcom Sound Team jdk(石川三恵子、松岡博文、金田直樹、中島勝、新井智)
  • 効果音:白川篤史
  • スペシャルサンクス:藤井大介、鈴木規夫、福谷洋一、草野孝之、西藤晋市、斉藤宏明、富樫克美、中原嘉伸、松前俊邦、柳沢育子
  • ディレクト:早川正
  • 監修:山崎伸治
  • プロデュース:加藤正幸

モナークモナーク[編集]

  • プログラム:綱島貴博
  • グラフィック:今井浩之、荒木健、梶谷幸人、小林慶久、新津誠、星野淳史、吉田麻衣子
  • サウンド:Falcom Sound Team jdk(松岡博文、白川篤史、中島勝、園田隼人、松村宏和)
  • 説明書:石川三恵子、稲屋秀文
  • 相談役:中原嘉伸
  • まとめ役:藤井大介
  • 現場監督:早川正
  • 責任者:山崎伸治
  • 総監督:加藤正幸
  • スペシャルサンクス:永島純、斉藤宏明、小原要

4Gamer.netの板東篤はPC-9801版について「シンプルなルールながらも、熱い戦略が楽しめる」と評価している[1]

SFC版はファミコン通信クロスレビューでは8、8、7、6の29点[3]。レビュアーは『ポピュラス』と『シムシティ』のいいとこどりをしたゲームでたまに適当な指示を出すほかは放置しておける面倒くさがり屋でも税制をある程度操作すればオートプレイでもそこそこ勝てる、シナリオによっては開始時点から不利な場合もあってやりごたえがある、一方でマップ一つに時間がかかり途中でセーブできないのは辛い、戦略性を強調していてモロではないが基本的には影響を受けただろうポピュラスと同じ、やや単調だとした[3]。「Best Picks of This Week」の欄では面白さが分かればそこそこハマるとのコメントがあり、同じ号でレビューした6作品中レビュアー4人中3人が本作を選んだ[6]

外部リンク[編集]