ガラスの林檎/SWEET MEMORIES – Wikipedia

ガラスの林檎/SWEET MEMORIES』(ガラスのりんご / スウィート・メモリーズ)は、1983年8月1日にリリースされた松田聖子の14枚目のシングルである。

  1. ガラスの林檎(3:57)
    (作詞:松本隆/作曲:細野晴臣/編曲:細野晴臣・大村雅朗)
    作曲担当の細野は制作に当たり、ディレクターからサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」のような曲を作って欲しいと依頼された[3]
    作詞担当の松本隆は、同年に聖子に提供した楽曲『秘密の花園』『天国のキッス』とあわせて、「たまたま、ある種宗教的な世界、シュプリーム(至上)のもの(がテーマだった)」「花園とか天国とか林檎とか…そういうものは、性的であって、同時に聖なるものだと思う」と語っている。
    松本と細野の共作の場合、通常は松本の詞先であったが、本曲においては細野が、マンネリ化を防ぐため曲先で作ろうと提案していた。しかしいざ作り始めると作業が行き詰まったため、結局、松本がスタジオの廊下にあるソファーの上で、急遽、詞を書き上げたという逸話を後に語っている。
    歌番組では、当初は夜のヒットスタジオ等において、イントロやAメロ部分にも振り付けがあったが、次第にほとんどなくなった。
    この曲で1983年の日本レコード大賞金賞、FNS歌謡祭最優秀歌唱賞等、多くの賞レースで各賞を受賞した。
    当年の『第34回NHK紅白歌合戦』披露曲。
  2. SWEET MEMORIES(4:35)
    (作詞:松本隆/作曲・編曲:大村雅朗)
    デビュー以来、聖子の楽曲のアレンジを多く担当しており、アルバム曲の書下ろしも担当していた大村雅朗による、シングル曲としては初起用となった楽曲。
    発売当初からファンの間では名曲と評価が高かったが、サントリーCANビールのCMソングになったことで評判となり(後述)、急遽両A面として同年10月に再発売するに至った。
    最終的には、当初B面であったにも関わらず非常に人気の高い曲となった。聖子自身も好きな曲として挙げる事が多く、コンサートやディナーショーのセットリストに組まれる事の多い一曲である。また、カバーの定番として数多くのアーティストがカバーを行っている。
    2番の前半部分は聖子の楽曲で初めての英語詞であった。聖子は最初に楽曲を受け取った時、「こんな大人っぽい歌を私が歌うんですか」と驚いたという。
    レコーディングは、CMスポンサーであるサントリーはじめ関係者が見守る中行われ、「緊張した」と聖子が語っている。
    松本隆は後年、「聖子さんの歌を作る時は、その時点の彼女のキャパ(力量)の2-3歩先を行く歌を作る。ほとんどの歌い手はそれに対応できないが、彼女は見事に付いてくる。そして、『SWEET MEMORIES』に関しては10歩くらい先を行っており、作曲の大村雅朗と『今回は付いて来られないかな? 難しすぎたかな?』とも話したが、彼女は見事に歌い上げた」と賞賛した[8]
    イントロは松武秀樹がシンセサイザーで創ったものである。松武によると、大村雅朗から「口では表現できない、雪がシャーっという感じで、聴いてて気持ちいい音にしてくれ」と依頼され、「逆回転の音みたいなヒヤっとする冬」をイメージしたイントロを創作したとのことである。
    また、番組では大村雅朗がこの楽曲を、プロデューサーである若松宗雄とスタジオにこもり約1時間で作曲したエピソードや、松本隆は初めてデモテープを聴いた時に「完全にジャズだった」ともコメントしている。(FBS開局50周年記念特番「風の譜~福岡が生んだ伝説の編曲家大村雅朗」より)
    1996年に、教育出版が発行した高等学校の音楽教科書に掲載された[9]
    1999年、『第50回NHK紅白歌合戦』披露曲。
    2020年、マクドナルド「ごはんバーガー」CM曲にレアレンジ、再レコーディングした『SWEET MEMORIES~甘い記憶~』が起用される。[10]
    オリジナルのほか、「Re-Mix Version」、「Cinema Version」、「New Version」、全編英語詞の「English New Version」、全編日本語詞の「SWEET MEMORIES〜甘い記憶〜」がある。

特記事項[編集]

「SWEET MEMORIES」のタイアップとなったCMは全編アニメーションであり、登場人物が全てペンギン(パピプペンギンズ)のキャラクターになっており、ジャズバーで女性歌手が本曲を歌い、それを聴いた客が感動して涙するというものであった。放送当初は歌手名のクレジットが表記されていなかったため[11]、歌っている歌手は誰なのかと話題になった。しかし当初はレコードを買っていたファン以外は歌手が聖子だということがわからず、レコード会社2社から「歌っている新人歌手を自社で使いたい」と引き合いの電話が来たという[12]。聖子の母親すらも、聖子本人から知らされるまで気づかなかった。しばらく後に“唄/松田聖子”のクレジットが表示されるようになり、本作レコードの売り上げ再浮上へと繋がった。この経緯から、聖子の歌唱力を世間に認知させる契機になった、と評される名曲である。

本作は「ガラスの林檎」としてリリースされて3週間目でオリコンシングルチャートの1位を獲得(1983年8月15日付)した後、一旦ベスト10外まで順位を下げるが、B面の「SWEET MEMORIES」への反響で再びじわじわと順位を上げていった。両A面シングルとして新しいジャケットのものが発売され(83年10月20日発売。なお、オリコンシングルチャートでは9月26日付から両A面表記になっている)、10月31日付の同チャートで11週ぶりに1位に返り咲いた。さらに、翌11月7日付では次作「瞳はダイアモンド/蒼いフォトグラフ」が1位に入り、本作とあわせてシングルチャートの1位と2位を独占、9週間にわたり同時にベスト10入りしていた。

最終的に本作は1位は合計2週、ベスト10以内は「ガラスの林檎」として8週、両A面で10週であった。レコード総売り上げはオリコンの集計で85万枚を超え、聖子のシングルとしては1996年の「あなたに逢いたくて〜Missing You〜/明日へと駆け出してゆこう」に次ぐセールスを記録している。CBS・ソニーの発表ではミリオンセラーとなっている[14]

なお、タイアップのCM自体も大きな話題となり、ペンギンのキャラクターも人気を呼んだためシリーズ化され、後に東宝劇場用アニメ『ペンギンズ・メモリー 幸福物語』が製作された。2010年10月23日からオンエアされたサントリーの缶コーヒー「BOSS ホットシルキーブラック」のCM「ペンギン回想編」では、聖子自らが実写で出演し、かつてのペンギンアニメのCMを回想させる内容となっている。

ガラスの林檎
  • Deniece Williams(1991年、アルバム『ROMANTIQUE』収録)
  • 井上昌己(2009年、アルバム『the covers of my color』収録)
  • 沢知恵(2010年、アルバム『ライブ・アット・ラカーニャ秋』収録)
  • アン・サリー(2012年、アルバム『fo:rest』収録)
  • 野宮真貴(2015年、アルバム『世界は愛を求めてる。What The World Needs Now Is Love 〜野宮真貴、渋谷系を歌う。〜』収録)
  • 野島健児(2020年、アルバム『VOICE〜声優たちが歌う松田聖子ソング〜 Male Edition』収録)
SWEET MEMORIES

関連作品[編集]

  • ガラスの林檎
  • SWEET MEMORIES
  • SWEET MEMORIES (Cinema Version)
  • SWEET MEMORIES(Re-Mix Version)
  • SWEET MEMORIES (New Version)
  • SWEET MEMORIES (English New Version)
  • SWEET MEMORIES ~甘い記憶~

参考文献[編集]