『でーれーガールズ』は、原田マハの小説。文芸単行本版では「Fantastic Girls, Okayama,1980」(ファンタスティックガールズ, おかやま, 1980)の副題が添えられている。2015年に映画化された。 祥伝社の恋愛文芸季刊雑誌『Feel Love』に2009年冬号から2011年冬号まで連載された作品。読切専門誌を謳い、そのように編集方針が取られる同誌の中では珍しく、連載枠によって発表された作品である。連載終了後の2011年8月に、祥伝社より文芸単行本として刊行発売された。 40代となった女性2人の青春の思い出(回想)を介し、1980年と現代の2つの時代における岡山県岡山市を物語の舞台として、恋と友情を描いた青春物語。作品の舞台となった岡山市は、著者である原田にとっては思春期を過ごした場所でもある。特に本作の主人公たちが通う学校は、原田の母校である山陽女子高等学校がモデルとされており、そのため2015年の映画版では同校が特別協力団体のひとつに名を連ね、それが強調された演出がとられている。 タイトルに使われている「でーれー」とは同地の方言である岡山弁において「凄い」もしくは「とっても」という意味を持つ修飾語である「どえらい」が変形したものである。これは主に旧備前地域で使われる言葉であり、現在の岡山県内においては同様の意味の修飾語として『ぼっけえ、きょうてえ』(岩井志麻子)で知られるようになった「ぼっけえ」(備中域)の他にも、『妖怪ウォッチ』で知られるようになった「もんげー」(美作域、「ものすごい」の変形)、あるいは「ぶち」(主には備後域。「ぶっ(たまげる、飛ぶ)」の変形。なお、備後域そのものは岡山県下ではないが、隣接域として交流のある井原市や笠岡市の西域などにおいては言語の融和が起こっている場合も見られ、使用されることがある)などが並列して使われている。その中において「でーれー」は比較的軽度の強調を意味しており、感情の強度から言えば「ぶち≒でーれー<ぼっけえ<もんげー」となるため、これら全てを用いて感情を表現する場合もある。これらの言葉を本義をもって英語表現に直した場合は「very」に相当するが「Girls」のような名詞には使用されない。今回の場合、意味合い(すごくイカした)から「Fantastic」が適切となる。 あらすじ[編集] 40代半ばの秋の日、漫画家「小日向アユコ」として多忙の日々を過ごす佐々岡鮎子の元に、自身の出身校である岡山白鷺女子高等学校の同窓会から、同窓会の誘いを兼ねた記念講演の依頼状が届く。だが鮎子は依頼状の差出人である「萩原一子」という人物に心当たりが無かった。手紙からすると一子は同校の女教師で、鮎子のデビュー当時からのファンらしい。結局、誘いと依頼に対して断る理由を見いだせなかった鮎子は一路、岡山に向かう。懐かしい地に降り立った鮎子は、その光景に遠い昔を断片的に思い出していく。東京から岡山へと引越し、新しい暮らしに馴染めずに友人などいなかった高校時代。そんな彼女に知らず寄り添うようになったクラスメート秋元武美との思い出を。 翌日、同窓会場である母校で旧交を温めていた鮎子の前に、招待者である荻原一子が挨拶に来る。同様に挨拶を返す鮎子だったが周囲の同級生たちが笑い出す。一子は意味ありげなそぶりをすると鮎子だけに見えるようにジャケットの袖を裏返し「その部分」を見せる。そこには鮎子と武美だけが知る、2人の青春時代を象徴する、ある印が存在した。実は荻原一子は鮎子の高校時代の友人である秋元武美、その人だったのだ。 ついに、会いまみえた青春を共有する2人の「かつての少女」は、その記憶に淡き日々を鮮やかによみがえらせる。孤独だった鮎子と、彼女にちょっかいをかけてからかっていた武美。そして2人が惹かれた、カッコいい大学生「ヒデホくん」の存在。そんな彼らにまつわる一つの物語の記憶を。 主要登場人物[編集] ※映画など他メディア作品における演者については後述の各節を参照 佐々岡鮎子(ささおか あゆこ) 「小日向アユコ」のペンネームを持ち東京で活躍する少女漫画家。 高校時代の思い出をモチーフにした読切漫画『でーれーガールズ』でデビュー。売れっ子漫画家となって母校・岡山白鷺女子高校に凱旋する。 高校時代は内向的な少女で、漫画を描く事が趣味。ラジオ投稿とエアチェックを欠かさないハガキ職人でもあり、特に山口百恵のファン。両親の都合で岡山市に来て白鷺女子に転校してくるが、独特の気風のある白鷺女子の校風や岡山の空気に馴染めずに悪戦苦闘していく事になる。大学生のヒデホと交際しており、その内容を漫画と言う形でノートにしたためる事を日課にしている。
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