小田急8000形電車 – Wikipedia
小田急8000形電車(おだきゅう8000がたでんしゃ)は、小田急電鉄が1982年(昭和57年)から[9]1987年(昭和62年)まで[10]導入を行なった通勤車両である。 小田急では、編成表記の際には「新宿寄り先頭車両の車両番号(新宿方の車号)×両数」という表記を使用している[11]ため、本項もそれに倣い、特定の編成を表記する際には「8052×4」「8257×6」のように表記する。特定の車両については車両番号から「デハ8100番台」などのように表記する。 輸送力増強と通勤車両の大型化のため[12]、各駅停車から急行にまで運用可能な汎用通勤車両として登場した[13]。9000形以来約11年ぶりのモデルチェンジが行われ[9]、1982年(昭和57年)から1987年(昭和62年)までの間に4両固定編成と6両固定編成が各16編成ずつ、合計160両が製造された[14]。2002年から車体修理が開始され[15]、2003年(平成15年)以降はVVVFインバータ制御方式への改造も併せて進められている[10]。 登場の経緯[編集] 小田急で1969年から大型通勤車両として導入が継続されていた5000形 (初代)は、13年間の増備によって1982年までに合計180両が製造され、車両運用や保守の面からみて適正な車両数となった[16]。この間に進歩した鉄道車両の技術動向を踏まえ、次世代の車両を開発するという機運が生じ[16]、省エネルギー・保守の容易化・長寿命化を主眼とした車両を開発することになった[13]。 2600形は各駅停車用の車両として[17]、5000形は急行用の車両として製造された車両であった[17]が、新型通勤車両は千代田線直通を除く各駅停車・準急・急行のいずれの種別にも使用可能な仕様とすることとした[13]。また、高性能車の他形式[注 1]と相互に連結可能とした[16]上で、箱根登山鉄道線への直通運転も可能な仕様とすることになった[18]。 このような条件を踏まえた開発・設計が行われ、登場したのが8000形である。 車両概説[編集] 本節では、登場当時の仕様を基本として、増備途上での変更点を個別に記述する。更新による変更については沿革で後述する。 8000形は全長20mの車両による4両固定編成と6両固定編成が製造された。形式は先頭車が制御車のクハ8050形で、中間車は電動車のデハ8000形である。車両番号については、巻末の編成表を参照のこと。 車体[編集] 先頭車・中間車とも車体長19,500mm・全長20,000mmで、車体幅は2,900mmの全金属製車体である。外板は厚さ3.2mmの耐蝕性鋼板を採用した[19]。腐食防止対策の観点から、屋根と雨樋の部分には全面的に厚さ1mmのステンレス板を採用し[19]、床板もステンレス製のキーストンプレートとした[19]ほか、側梁の溶接はそれまでのスポット溶接から突き当て全周溶接に変更した[9]。また、台枠については、それまでの小田急の車両では台車の心皿部分が凸形となった構造であった[19]が、8000形では平台枠に変更し[19]、台車ボルスタ部分と車体中心部を個別に製作した上で溶接する方式とした[19]。 正面は大型曲面ガラスを用いたスケルトン構造とし、窓回りの柱を黒色とすることによって大きな1枚窓のような感覚を与えるものとする一方で、安全対策上から貫通扉を残し[18]、貫通路脇には手すりを設置した[20]。行先表示器・種別表示器や通過標識灯などは前面ガラス内に収められている。前照灯と尾灯については角型で、一体化したものを運転席・助士席の窓下に配置した。側面客用扉は4箇所で、いずれも1,300mm幅の両開き扉である。なお、乗務員室の奥行が5200形より約100mm広くなったこと[14]から、乗務員室直後の戸袋窓設置は省略されている[14]。落成当初は正面貫通扉に青帯が回り込んでいないデザインであったが[21]、報道発表時点で貫通扉にも青帯が入ったものに改められている。 側面窓は、9000形では1段下降窓としていた[22]が、下降窓の特性から雨水が車体内部に入り込み[3]、防錆対策を行っても腐食の進行がみられた[3]。この経験から、8000形では側窓と水受けを完全に一体としたアルミニウム製ユニット窓とすることで完全防水化を図った[3]。水受けにたまった水は水抜きパイプで車体外部に排出される[3]。窓そのものはサッシレスタイプとして、走行中の窓枠接触音[注 2]の解消を図った[23]。車体に直接ユニット窓を取り付け[3]、境界部分はシール材でカバーする方法とし[3]、側面窓外周にはアルミの縁取りがされた状態になった[24]。 車両間の貫通路は1900形から5200形まで続いた広幅貫通路ではなく、800mm幅の狭幅貫通路とし[25]、保安度と空調効果の向上という目的で全車両に片引き式の仕切り扉を設置した[23]。妻面の窓は固定式である。 内装[編集] 座席はすべてロングシートで、客用扉間に7人がけ、客用扉と連結面の間には4人がけの座席が配置される車内レイアウトや定員は5000形と同じである[14]。
Continue reading
Recent Comments