美瑛町 – Wikipedia
美瑛町(びえいちょう)は、北海道上川郡にある町。「日本で最も美しい村連合」加盟[1]。
なだらかな丘陵と豊かな自然環境と景観が特徴になっている[2]。町全域を「景観計画区域」の対象にしており[3]、「美しい日本のむら景観百選」、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」(美瑛リフレッシュライン)に選定されているほか[4][5]、美瑛町を含む1市6町村で「富良野・美瑛観光圏」を形成している[6][7]。
町名の由来[編集]
アイヌ語の「ピイェ[9]」〔油(転じて油っこい・油ぎっている)〕に由来するとされる[10]。
現在の美瑛川に十勝岳からの硫黄が溶けこんで濁っていた様を表現したものである[10]が、「美しく、明朗で王者の如し」という意味を込め、「美瑛」と当て字された。
北海道のほぼ中央、大雪山国立公園の十勝岳連峰と夕張山系との間に位置している。十勝岳連峰は複数回の大規模噴火によって火砕流が周辺地域にひろく分布し、放射状に河川が流れて谷を形成された。美瑛の波状丘陵は噴火と河川の侵食によるものであり、丘と沢が連続性を持って成り立ち変化に富んでいる。また、波状丘陵の上に格子状の区画割りで開墾を行ったことが美瑛の個性的な景観を生み出すことになった。開拓は沢の平坦地を水田に、丘の傾斜地を畑に開墾していった。
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美瑛の代名詞にもなっている波状丘陵
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トムラウシ山と北沼(2006年8月)
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オプタテシケ山と美瑛富士(2005年8月)
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美瑛岳から眺めた十勝岳(1998年8月)
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美瑛川(2013年5月)
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青い池(2014年7月)
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白金不動の滝(2010年8月)
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白ひげの滝(2013年5月)
気候[編集]
寒暖の差が激しい内陸性気候であり、春夏秋冬が明確になっているため四季の移り変わりを楽しむことができる。
美瑛(1981年 – 2010年)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 6.0 (42.8) |
11.4 (52.5) |
13.9 (57) |
27.0 (80.6) |
34.4 (93.9) |
36.0 (96.8) |
36.1 (97) |
37.1 (98.8) |
32.7 (90.9) |
25.7 (78.3) |
20.2 (68.4) |
12.1 (53.8) |
37.1 (98.8) |
平均最高気温 °C (°F) | −4.3 (24.3) |
−3.2 (26.2) |
1.3 (34.3) |
10.0 (50) |
17.3 (63.1) |
22.0 (71.6) |
25.1 (77.2) |
25.9 (78.6) |
20.8 (69.4) |
13.9 (57) |
5.3 (41.5) |
−1.7 (28.9) |
11.1 (52) |
日平均気温 °C (°F) | −9.0 (15.8) |
−8.5 (16.7) |
−3.5 (25.7) |
4.3 (39.7) |
10.8 (51.4) |
15.5 (59.9) |
19.2 (66.6) |
20.0 (68) |
14.7 (58.5) |
8.0 (46.4) |
1.2 (34.2) |
−5.6 (21.9) |
5.6 (42.1) |
平均最低気温 °C (°F) | −15.3 (4.5) |
−15.3 (4.5) |
−9.6 (14.7) |
−1.4 (29.5) |
4.2 (39.6) |
9.5 (49.1) |
14.1 (57.4) |
15.0 (59) |
9.2 (48.6) |
2.7 (36.9) |
−3.2 (26.2) |
−10.8 (12.6) |
0.0 (32) |
最低気温記録 °C (°F) | −33.2 (−27.8) |
−32.7 (−26.9) |
−27.5 (−17.5) |
−14.2 (6.4) |
−4.7 (23.5) |
−0.9 (30.4) |
3.8 (38.8) |
4.7 (40.5) |
−0.6 (30.9) |
−6.0 (21.2) |
−20.8 (−5.4) |
−26.7 (−16.1) |
−33.2 (−27.8) |
降水量 mm (inch) | 46.6 (1.835) |
37.6 (1.48) |
44.1 (1.736) |
49.0 (1.929) |
64.8 (2.551) |
58.0 (2.283) |
103.2 (4.063) |
142.9 (5.626) |
118.2 (4.654) |
94.5 (3.72) |
95.3 (3.752) |
69.7 (2.744) |
908.8 (35.78) |
降雪量 cm (inch) | 178 (70.1) |
147 (57.9) |
141 (55.5) |
30 (11.8) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
3 (1.2) |
80 (31.5) |
183 (72) |
754 (296.9) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 18.1 | 14.4 | 15.2 | 11.9 | 11.1 | 9.5 | 10.6 | 10.5 | 12.0 | 14.3 | 19.3 | 19.6 | 165.2 |
平均月間日照時間 | 70.9 | 102.1 | 140.3 | 161.5 | 188.3 | 177.4 | 160.4 | 162.1 | 151.4 | 126.6 | 64.3 | 51.4 | 1,558.5 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[15] |
人口[編集]
1960年(昭和35年)にピークを迎えた人口は、その後減少傾向が続いている。
美瑛町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 美瑛町の年齢・男女別人口分布(2005年) |
■紫色 ― 美瑛町 |
■青色 ― 男性 |
美瑛町(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
消滅集落[編集]
2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[17]。
美瑛町は、1887年(明治20年)に上川原野一帯の「植民地区選定事業」が開始され、1892年(明治25年)に未開地として神楽村に属していたが、1894年(明治27年)に旭地区、1895年(明治28年)に原野地区で開墾が始まって農場が創設されていった。
- 江戸後期には幕府の天領となる。
- 1858年(安政5年):松浦武四郎が美瑛を調査。
- 1899年(明治32年):十勝線(現在の富良野線)美瑛 – 旭川間開通。
- 1900年(明治33年):石狩国上川郡神楽村(現・旭川市の一部)から分村し、美瑛村となる。
- 1915年(大正04年):二級町村制施行。
- 1921年(大正10年):一級町村制施行。
- 1929年(昭和04年):北海道庁立美瑛農事試作場設置(1950年廃止)。
- 1940年(昭和15年):町制施行し、美瑛町となる。
- 1963年(昭和38年):町民憲章、町章制定。
- 1966年(昭和41年):白金に国立大雪青年の家開設。
- 1973年(昭和48年):オーストリアのザールバッハ町と姉妹都市提携(現在は提携終了)。
- 1978年(昭和53年):『北海道歩くスキー交歓会』(現在の『宮様国際スキーマラソン』)初開催。
- 1987年(昭和62年):風景写真家前田真三のフォトギャラリー「拓真館」オープン。
- 1988年(昭和63年):『ヘルシーマラソン』初開催。
- 1989年(平成元年):「美瑛町自然環境保全条例」制定。
- 1991年(平成03年):本通地区が「ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業」モデル地区指定。
- 1992年(平成04年):青森県中津軽郡岩木町(現在の弘前市)と姉妹都市提携(現在は提携終了)。十勝岳を24時間体制で監視する「十勝岳砂防情報センター」完成。
- 1994年(平成06年):四季の塔開設。
- 1997年(平成09年):四季の情報館完成。
- 1999年(平成11年):美瑛町開基100年。
- 2003年(平成15年):保健センター完成。「美瑛の美しい景観を守り育てる条例」「住み良いまち美瑛をみんなでつくる条例」制定。
- 2004年(平成16年):大雪広域連合業務開始。
- 2005年(平成17年):ふれあい館ラヴニール、西美体験交流館(榎木孝明水彩画館)オープン。「日本で最も美しい村連合」設立。
- 2006年(平成18年):丘のくら、スポーツセンターオープン。
- 2007年(平成19年):丘のくらが道の駅(道の駅びえい「丘のくら」)指定。
- 2008年(平成20年):置杵牛農産物加工交流施設オープン。
- 2010年(平成22年):『美瑛センチュリーライド』初開催。
- 2012年(平成24年):新図書館オープン。
- 2014年(平成26年):美瑛町北瑛体験交流施設「北瑛小麦の丘」オープン。
- 2015年(平成27年):美瑛町活性化交流施設丘のまち交流館 bi.yell(ビ・エール)オープン。
- 2016年(平成28年):美瑛町白金クレー射撃場完成。十勝岳望岳台防災シェルター開設[20]。
- 2018年(平成30年):道の駅びえい「白金ビルケ」オープン。
- 議員定数14人[21]
- 議会
- 定例会 年4回(3月、6月、9月、12月)[21]
- 臨時会[21]
- 委員会
- 総務文教常任委員会(委員定数7人)[21]
- 産業経済常任委員会(委員定数7人)[21]
- 議会運営委員会(委員定数5人)[21]
- 特別委員会[21]
- 議会報特別委員会(委員定数4人)[21]
- 予算審査特別委員会(委員定数13人)[21]
- 決算審査特別委員会(委員定数12人)[21]
公共施設[編集]
- 美瑛町町民センター
- 美瑛町図書館
- 美瑛町スポーツセンター
- 美瑛町民スキー場
- ふれあい運動広場
- 町民丸山プール
- 丸山橋パークゴルフ場
- みどり橋パークゴルフ場
- 新区画パークゴルフ場
- ビルケの森パークゴルフ場
公的機関[編集]
国の機関
道の機関
独立行政法人
警察
消防
病院
報道機関
フリーペーパー
ごみ処理
- 大雪清掃組合
- しらかば清掃センター
- リサイクルプラザたいせつ
教育機関[編集]
高等学校
中学校
- 美瑛町立美瑛中学校
- 美瑛町立美馬牛中学校
小中学校
- 美瑛町立明徳小中学校
小学校
認可保育園
- 美瑛町立どんぐり保育園
へき地保育所
- 美瑛町立美田へき地保育所
- 美瑛町立ルベシベへき地保育所
- 美瑛町立美馬牛へき地保育所
- 美瑛町立美沢へき地保育所
- 美瑛町立下宇莫別へき地保育所
- 美瑛町立朗根内へき地保育所
幼稚園
休校となった学校[編集]
一覧
- 美瑛町立旭中学校
- 美瑛町立千代田小学校
- 美瑛町立二股小学校
- 美瑛町立西美小学校
- 美瑛町立置杵牛小学校
- 美瑛町立宇莫別小学校
- 美瑛町立俵真布小学校
- 美瑛町立美田小学校
- 美瑛町立五稜小学校
- 美瑛町立北瑛小学校
- 美瑛町立旭小学校
経済・産業[編集]
農業を基幹産業として畑作と稲作により発展してきたが、水田の転作による田・野菜や畑・野菜の複合経営が多く、小麦、飼料用作物、てん菜、水稲、ジャガイモ(馬鈴薯)、大豆などを生産している[24]。同じ圃場でも作付が毎年変わることにより美瑛独特の「パッチワーク」と表現される丘陵地帯の田園風景を作り出している[24]。林業では町域面積の約7割を森林が占めており、その内約1/3が民有林であり多くが人工林になっている。商工業は豊富な農産物や観光資源を基盤として営まれている。2015年(平成27年)に美瑛プレミアムブランド「ビエイティフル」が誕生し、厳選した町内特産品の取扱いを始めた[27]。
立地企業
組合
- 美瑛町農業協同組合(JAびえい)
- 北海道中央農業共済組合(NOSAI道央)美瑛家畜診療所[28]
- 美瑛町森林組合
- びえいからまつ協同組合[29]
- びえい白金温泉観光組合[30]
- 美瑛施設管理協同組合
スーパーマーケット
金融機関
郵便局
- 美瑛郵便局(集配局)
- 朗根内郵便局
- 美馬牛郵便局
宅配便
- 北海道美瑛センター
鉄道[編集]
バス[編集]
路線バス
都市間バス
タクシー[編集]
道路[編集]
町内を通る幹線道路は、シーニックバイウェイの「大雪・富良野ルート」、大雪 – 富良野 – 十勝を結ぶ「北海道ガーデン街道」になっている[31][32]。
一般国道
都道府県道
道の駅
滑空場[編集]
国指定
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ケンとメリーの木と大雪山
町指定
- 高橋北修筆「絵画」6件 – 美瑛町郷土学館内
- 旧陸軍演習場廠舎門柱 – 美瑛小学校敷地内
- 他26の小神社が存在する
観光・レジャー[編集]
パッチワークの路エリア[編集]
美瑛では大きくうねる幾重にも連なった丘に畑が広がっており、縫い合わせた色違いの布地に見立ててパッチワークの丘とよばれ、遠くに大雪山系の山並みが見える景観の良さから、ポプラの木をはじめ数々のCMロケ地も点在する観光名所となっている[43][44]。一般に「パッチワークの路」とよばれるエリアは、美瑛の西に広がる丘陵地帯を指し[44]、丘には広域農道を始めとして幾筋もの道が走っている。
畑がパッチワークのように見えるのは、同じ土地に同じ作物を繰り返し栽培すると土地が痩せる連作障害を防ぐ目的で、栽培期間や収穫時期の異なる、ジャガイモ、小麦、豆類、ビートなどを順に植え替えているためである[44]。
訪日外国人旅行者の急増以来、ごみのポイ捨てや畑の踏み荒らし被害が後を絶たず、観光公害問題が長期化している。これまでも観光客に対して様々な手段での呼びかけが行われてきたが、解決には至っておらず、現在はスマートフォンを活用した「共存」と「通報」の2つの方法が試みられている[45]。
- ぜるぶの丘・亜斗夢の丘
- ケンとメリーの木
- ジェフ写真館 Geoff Gallery
- 北西の丘展望公園(観光案内所)
- 菊地晴夫写真ギャラリー
- 阿部俊一ギャラリー
- マイルドセブンの丘 – 2018年に、トレードマークとなっていたカラマツ林が、5本のカラマツを残し、ほとんどが伐採されかつての面影をなくした。
- 美瑛町北瑛体験交流施設「北瑛小麦の丘」[46]
- セブンスターの木
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パッチワークの路(2014年7月)
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ぜるぶの丘(2007年7月)
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ケンとメリーの木(2011年9月)
中心部エリア[編集]
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美瑛選果(2011年6月)
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四季の情報館(2006年8月)
美馬牛・パノラマロードエリア[編集]
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拓真館(2006年6月)
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四季彩の丘(2021年7月)
びえい白金温泉エリア[編集]
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白金温泉(2011年8月)
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十勝岳望岳台(2008年10月)
祭事・催事[編集]
- びえい雪遊び広場(1月)
- 寬仁親王記念丘のまちびえい宮様国際スキーマラソン(2月)[53]
- 丘のまちびえいフォトコンテスト審査結果発表(3月)
- びえい桜まつり(5月)
- 丘のまちびえいヘルシーマラソン(6月)[54]
- 那智・美瑛火祭り(7月)
- どかんと農業まつり(8月)
- 丘のまちびえいセンチュリーライド(9月)[55]
美瑛町が舞台(ロケ地)となった作品[編集]
50音順
町民憲章[編集]
美瑛町町民憲章
わたくしたちは、美瑛町の町民であることに誇りと責任を感じ、この憲章をかかげてその実践につとめましょう。
- 1 心もからだもすこやかに りっぱにつとめをはたしましょう。
- 1 互にむつみ話し合い 楽しい家庭をつくりましょう。
- 1 きまりを守り助け合い 明るい社会をつくりましょう。
- 1 自然を愛し文化をたかめ 豊かな郷土をつくりましょう。
— 昭和38年2月25日制定[57]
参考資料[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
行政
産業
観光
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