はなまるうどん – Wikipedia

創業店舗の木太店。「はなまるうどん発祥の地」の看板を掲げる(高松市木太町3区、旧長尾街道沿い)。
店舗脇に掲げた書体の異なる「はなまるうどん」の看板は創業当時のものを再現したもの。ただしオリジナルの看板は「讃岐本店」の部分が「自家製麺」になっていた(レイアウト色彩と書体は同じ)。

はなまるうどんは、東京都中央区に本社を置く株式会社はなまるが展開するセルフ式讃岐うどんのチェーン店。吉野家グループに属する[1]。本項では運営会社である株式会社はなまるについても記述する。

讃岐うどんの本場である香川県高松市で創業[1]。公式ウェブサイトでは「讃岐生まれのはなまるうどん[3]」「はなまるの創業は、正真正銘[注釈 1]の香川県高松市。うどんの本場讃岐で生まれ、讃岐で育った、本物の『讃岐うどん』です[3]」とアピールしている[注釈 2]。創業以来、香川県高松市に本社を置いていたが、2005年7月に当時の東京本部に本社を移転した。移転前の本社は高松市伏石町字狃麈796番地1 丸忠第五ビル[注釈 3]にあった。

社名は創業者の前田英仁が幼少時に「はなまる」を貰えなかったことから、「お客様からはなまるを頂きたい」という思いから採用した。なお、静岡県東部地方を中心に出店している「惣菜屋 はなまる」などを運営する株式会社はなまるフードサービス(本社:静岡県沼津市)[5]とは無関係である。

株式会社フォー・ユーの貸しビルに入居していた卸売業の株式会社エイジェンス(現:株式会社ヒューマンネット)とリサイクル業の株式会社フォー・ユー(後の株式会社セカンドストリートを経て株式会社ゲオに吸収合併)の100%出資子会社である株式会社ジャンクションとの共同出資(出資比率60:40)で2001年に香川県高松市で設立された[6]

2004年に吉野家ディー・アンド・シー(現:吉野家ホールディングス)と資本・業務提携を行い関連会社(33.4%出資)となり、2006年5月には子会社(51%出資)に、2012年12月には完全子会社となっている。

2000年の創業時は「かけ」が100円(税抜)であった。2019年3月19日の料金改定の際に税抜130円から値上げ。その後、2020年5月26日の料金改定により税抜150円から再値上げを発表[7]。2021年3月24日以降は税込価格に再改定[8]された。

最初に出汁をかけたうどんを渡し、それに天ぷらやネギなどのトッピングなどを自分でのせていく「セルフうどん」システムを導入した。近年は逆に、最初にトレーを取り、天ぷらなどのトッピングやおにぎりなどをセルフで皿に取り、カウンター内の店員にうどんのオーダーを告げて調理したうどんを受け取り、最後にレジ係が会計し、調味料コーナーでネギなど乗せるというシステムを採用[9]している。揚げ物やおにぎりのほか、野菜の煮物などのサイドメニュー(100円、税込)も用意されている。讃岐うどん店に多いおでんもサイドメニューとして提供する[10]

うどんの麺は自社工場で生麺を生産しており、1玉にレタス1個分の食物繊維を含む「はなまる食物繊維麺」に変更しヘルシー志向に対応している。だしは、瀬戸内海産の煮干しを中心に、ウルメイワシ節、サバ節などで作っただしに、香川県産しょう油をブレンドしたものである[11]。店舗で購入できる「はなまる醤油」は、モンドセレクション最高金賞を4年連続(2008年、2009年、2010年、2011年)で受賞した。同様に店舗で購入できる「はなまるつけだし」と「はなまるかけだし」もモンドセレクション最高金賞を受賞しており、「はなまるつけだし」は3年連続受賞(2009年、2010年、2011年)、「はなまるかけだし」は2年連続受賞(2010年、2011年)している。

2019年6月にはキャッシュレス決済を導入。交通系ICカード、ストア系電子決済(楽天Edy、WAON、nanaco、QUICPay、iD)、一部のモバイル決済サービス(au PAY、d払い、LINE Pay、PayPay、ゆうちょPay、Origami、WeChat Pay、Alipay)に対応した[12]。同年7月にはさらに楽天Payを導入し、2021年10月21日からは全国の店舗で楽天ポイントカードを導入[13]。楽天グループとの連携を強めるとした[13]

吉野家グループのスケールメリットを活かし、一部店舗ではグループ企業の吉野家の牛丼を扱う「はなまる×吉野家コラボ店舗」として展開している。あくまではなまるうどんの店舗のため、通常の吉野家店舗で販売している定食類は販売していない。また、決済方法もはなまるうどんに準じている。2021年1月19日からは吉野家ホールディングス傘下の唐揚げ専門店「鶏千」(本店:東京都世田谷区)の唐揚げを全国の店舗で販売開始[14]した。唐揚げは天ぷらと同様に1個単位で販売し、店内で食べることもできる。また「鶏千」の唐揚げを使用した定食もメニューに加わった。

  • 2000年(平成12年)5月 – 創業店舗「はなまるうどん」木太店を香川県高松市に開店[1]
  • 2001年(平成13年)11月 – 株式会社エイジェンスと株式会社ジャンクションの共同出資で株式会社はなまるを設立。
  • 2002年(平成14年)
  • 2003年(平成15年)
    • 4月 – 千葉県佐倉市に千葉工場が稼動開始[1]
    • 4月 – 50店舗出店を達成[1]
    • 5月 – 東京事務所を東京都中央区内で移転し、東京本部に改称[1]
    • 8月 – 100店舗出店を達成[1]
    • 12月 – 150店舗出店を達成[1]
  • 2004年(平成16年)
    • 6月 – 株式会社吉野家ディー・アンド・シー(現:株式会社吉野家ホールディングス)と資本業務提携を締結[1]
    • 7月 – 静岡県御殿場市に静岡工場が稼動開始[1]
    • 7月 – 登記上の本店を、香川県高松市伏石町796番地1から、東京都中央区銀座三丁目15番10号(東京本部所在地)へ移転[1]
  • 2006年(平成18年)5月 – 株式会社吉野家ディー・アンド・シーの連結子会社となる[1]
  • 2007年(平成19年)
  • 2008年(平成20年)11月 – 250店舗突破[1]
  • 2009年(平成21年)7月 – 海外子会社として、中国・上海市に花丸餐飲管理(上海)有限公司を設立[1]
  • 2010年(平成22年)5月 – 海外初出店。実験店として「花丸烏冬 世博店」を上海万博会場内に出店(同年10月までの会期間限定)[1]
  • 2011年(平成23年)
    • 1月 – 中国・上海市の商業施設「美羅城」に海外1号店「花丸烏冬面 上海美羅城五番街店」を開店[1]
    • 3月 – 300店舗出店を達成[1]
    • 5月 中国・成都市の商業施設「伊藤洋華堂」に「花丸烏冬面 双楠店」を開店。
    • 8月 中国・成都市の商業施設「伊藤洋華堂」に「花丸烏冬面 錦華店」を開店。
  • 2012年(平成24年)12月 株式会社吉野家ホールディングスの完全子会社となる。
  • 2015年(平成27年)
  • 2016年(平成28年)
  • 2018年
    • 2月 – 450店舗出店を達成[1]
    • 9月27日 – 会社分割により「株式会社はなまる準備会社」に事業承継。「株式会社はなまる準備会社」を「株式会社はなまる」へ、旧「株式会社はなまる」を「株式会社はなまる分割会社」へ、それぞれ商号変更[15]
  • 2019年
  • 2020年
    • 5月26日 料金改定を実施。小サイズを150円から220円に値上げ[17]
  • 2021年

工場(販売地域の気候)ごとに小麦粉、水、塩の配合が異なっている[18]

全国の各店舗に関しては店舗のご案内(公式サイト)を参照。なお、佐賀県・宮崎県の各県には未出店(宮崎県は過去に出店したことがあるが、諸事情により撤退した)[18]

特徴的な店舗としては、2019年3月に出店した那覇空港店では、店名看板が那覇にちなみ「なはまるうどん」となっている。オープン時に社員から提案があり、社長の了承も得た上で変更したもの。積極的な告知はしていなかったが、2021年8月にインターネットで話題となった。同社によれば、このような店名変更を行っているのは那覇空港店のみである[19]

サービス[編集]

食のサブスクリプション型サービスの先駆けと言える「定期券」を期間限定で断続的に発売している。

うどん定期券[編集]

2006年春には、1か月105円割引(=かけ小が無料)となる「うどん定期券」を500円で販売していた。この「うどん定期券」は発行店舗で1日1回のみ利用可能で、期間限定であり更新はできない。かけうどん(小)を無料で食べられることが大好評となり、2007年以降も4月頃に発売された。2008年10月にはショッピングセンター店舗限定で、2か月のうどん定期券を500円で販売。2009年も9月に販売開始した。

2005年11月に首都圏の一部店舗で実験的に販売した1か月1,000円の「うどん定期券」は指紋認証技術を使って紙の定期券を持ち歩かずに利用でき、しかも1時間の間隔をあければ何回でも利用可能であった。この生体認証型定期券は以降は発売されていない。

2010年4月7日から、全国の店舗(一部店舗を除く)で定期券を一斉発売。今回は従来の定期券とは異なり、発行店以外でも全国の店舗(一部を除く)で105円割引のサービスを受けることができた。枚数限定で同年4月16日まで販売、同年5月15日まで使用できた。価格は500円と前回までの定期券と同じであった。

天ぷら定期券[編集]

天ぷら定期券(2016年版)

2015年4月6日(月)から「ヘルシー天ぷら定期券」として各店先着300名限定、1枚300円で販売された。2007年から2010年に実施された「うどん定期券」の実質的なリニューアルとして登場したものである。4月6日から5月14日までの期間に定期券を提示して単品300円以上のうどんを注文すれば、新発売のヘルシー天ぷら(いか天、ちくわ磯辺揚げ、さつまいも天、れんこん天、えび天、とり天、ヘルシーかき揚げ、げそ天)のいずれか1つが無料で食べられる定期券となった。「定期券1枚で何人でもご利用いただけます」とされており、1枚の定期券で複数人の天ぷらを無料にすることも可能であった[20]

引き続き2016年にも「天ぷら定期券」として1枚300円で発売されたほか、抽選でプレミアム定期券が当たるキャンペーン[21]も行っていた。2017年以降の定期券システムは「はしご定期券」へと引き継がれるが、2020年春季に再びはなまるうどん単独企画となる「春の天ぷら定期券」が発売された。

2020年3月19日より、はなまるうどん単社使用の「春の天ぷら定期券」を1枚300円で発売。単品290円(税抜)以上のうどん1杯を注文するごとに天ぷら1品を無料で食べられる定期券となった。利用期間は当初は同年4月1日から5月6日までとしていたが、前年より続いていた新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、利用可能期間は各地域・各店舗の事情に鑑みて対応することとし、地域あるいは店舗単位で使用期間を最小で5月31日まで、最大で6月30日まで延長する判断が取られた[22]

はしご定期券[編集]

2017年9月、吉野家との合同定期券として「はしご定期券」が1枚300円にて発売された。9月15日から10月23日までの期間に定期券を提示すれば、はなまるうどんでうどん1杯注文ごとに天ぷらが1品無料になるほか、吉野家にて丼・定食・皿・カレーが80円引となった。

吉野家との合同定期券は2018年4月と2019年4月にも発売され、2019年春の定期券は、はなまるうどんの割引がうどん1杯につき天ぷら100円引きに変更された[23]

3社コラボ定期券[編集]

2018年8月、吉野家に加えすかいらーくグループのガストがコラボレーションに参加し「3社合同定期券」が発売された[24]。9月10日から10月21日までの期間中に定期券を提示すれば、はなまるうどんにてうどん1杯注文ごとに天ぷらが1品無料、吉野家にて丼・定食・皿・カレーが80円引、ガストでは10時30分以降の会計から100円引きとなった。

店舗ギャラリー[編集]

株式公開延期[編集]

2003年に東京証券取引所への株式上場を予定していたが、直前に会社側からの申請により上場延期となり、そのまま現在に至るまで株式公開を行っていない。その後の吉野家ディー・アンド・シーとの資本提携と上場延期が関係あったかどうかを含めて、延期の明確な理由は公表されていない。

『週刊新潮』に、創業者で当時の社長であった前田英仁が豊田商事事件を起こした豊田商事の元幹部社員であったことが外部から指摘され、この点が東証に提出していた目論見書に記載されていなかったことから、東証から延期されたとする記事が掲載された。[要出典][いつ?][要文献特定詳細情報]

関連する著名人[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]